不幸な事故?それとも虐待?…トリモチまみれの飢えた猫 保護団体や獣医師のサポートが救った小さな命 元気になって譲渡会デビュー

「トリモチ」という接着物質を知っていますか。鳥や昆虫を捕獲するために使う粘着性の物質で、現在では禁止猟具に指定されています。有害な鳥類がおり、どうしても捕獲しなければいけないときに、鳥獣捕獲許可証の下付を受けて使用できるものですが、このトリモチにかかった状態で保護された猫がいました。

推定約1歳ほどのオス、名前は銀座くんです。

■事故・虐待いずれにせよ仕掛けたのは人間

トリモチにかかった経緯は不明です。事故か虐待か、いずれにしても人間が仕掛けたものには変わりはなく、強い憤りを覚えます。

銀座くんを保護したのは、千葉県我孫子市を拠点に猫の保護活動を行う団体・ねこ友会。同団体スタッフは、まず体中ベタベタの銀座くんを動物病院に連れていき、獣医師にしかるべき処置をお願いしました。強い粘着力を持つトリモチが着いたままでは、毛と毛が引っ張り合って痛いはず。まずはこの除去から始めてもらいました。

トリモチは水で洗うだけでは落ちません。まず、銀座くんの体に粉をまぶし、油分を含む液体で流し除去を試みました。特に米ぬかには十分な油分が含まれておりトリモチの除去には最適といいます。これらの方法で銀座くんの体にベットリ付いたトリモチを除去することに成功しました。

意外だったのがこの除去の際の銀座くんの様子。ベタベタの体をゴシゴシと磨かれ、さぞ嫌がるのではないかと思いましたが、銀座くんはグッと我慢。ねこ友会のスタッフはもちろん、動物病院の職員に対しても「この人たちは悪い人じゃない」と認識してくれたのでしょうか。身を任せてくれました。

■「いつか元気を取り戻してくれるだろう」

多くの毛を失うことにもなりましたが、トリモチの除去はあらかたうまくいきました。ここから先も念入りな細部の除去が必要ですが、まずは一安心です。

あらためて獣医師が銀座くんを検査すると、去勢済みであり、元飼い猫であるように見受けられました。また、満足なエサを得られず放浪していたのでしょうか、やや痩せており、皮膚には炎症も見られました。その様子を見るに、胸を痛めるねこ友会のスタッフでしたが、幸い、これら以外の重い持病はなく、「いつか元気を取り戻してくれるだろう」とも獣医師が教えてくれました。

心身とも辛い経験をした銀座ですが、「だからこそたっぷりの愛情を注ぎ、幸せいっぱいの第2の猫生へと繋いであげたい」とスタッフはその思いを胸に強く抱きました。

■毛が生え揃うまで本格治療ができなかった

銀座くんは、しばらくの間、ねこ友会の預かりボランティアさんの家で過ごすことになりました。

幸い、よく食べ、きちんと排泄もします。問題といえば、楽しく遊んでいる最中につい強めに噛んでしまうクセがありますが、これは甘えん坊でもある証拠です。

一方、広範囲に渡って毛が抜けてしまったことで困ったこともありました。あまりに皮膚が露出してしまったため、皮膚に滴下するタイプの寄生虫駆除薬が使えません。毛が生えそろわないと、液剤が皮膚を伝ってほかの場所まで垂れてしまい、銀座くんが薬を舐めてしまう恐れがあるためです。しばらくは動物病院でもらった薬と保湿用スプレーで皮膚を労わるだけで過ごすことになりました。

■銀座くんは元通りになり元気も取り戻してくれた

やがて毛も生え揃い、本格的な治療を実施。見事元気を取り戻してくれました。

銀座くんが元気を取り戻してくれたことでわかったことがいくつかありました。本来の銀座くんは遊ぶことが大好きな様子。そして、預かりボランティアさんの家にいる他の保護猫たちともまったくケンカをせず、協調性を持ち合わせた猫であることがわかりました。そして、寝るとき、留守番の時間だけはケージで過ごしますが、こういった場面でも暴れることはなく過ごすお利口さんでした。

このことから、銀座くんは後に譲渡会に参加。程なくして、優しい里親さんとのマッチングを果たし、現在は先住猫たちと仲良く幸せに暮らしているそうです。

見事幸せをゲットした銀座くんでしたが、他方で、銀座くんのように室内での飼い猫であっても、何かの拍子に外に出てしまい、交通事故や銀座くんのような目に遭ってしまう可能性もあります。ねこ友会のスタッフは、改めてこういったことが起きないよう注意喚起をすることに加え、銀座くんのような猫、行き場を失った猫を、今後も1頭でも多く保護し、幸せへと繋いでいきたいと言います。今後もねこ友会の活動にぜひご注目ください。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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