まな板も包丁も使わない→洗いもの減って、水も節約 小さなナイフで空中切りする文化圏が話題に

包丁やまな板を使わず、食材を空中切りする文化がSNS上で大きな注目を集めている。

きっかけになったのは"世界の台所探検家"として活動する岡根谷実里さん(@m_okaneya)の「東アジア以外では、包丁とまな板を使わず、小さなナイフ一本で何でも空中切りする文化圏がけっこう広い。最近この切り方を練習しているのだけれど、毎回手から直に感じる野菜の硬さや形にはっとする」という投稿。

海外のドキュメンタリー映像などを見ていると、手と簡単なナイフだけで食材を切り分けている風景をよく目にする。料理はその土地の歴史、文化と切っても切り離せないもの。それを"文化圏"と捉えることで新しい気付きがありそうだ。

岡根谷さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「洗い物が少ない→東アジアは水が潤沢に使えるけどそれ以外の地域では水が貴重だったりするからかも知れませんね。ぼくはすぐ手を切っちゃいそう。」

「ポット(壺)料理文化圏で多いですよね。水が貴重なところと被るように思います。」

「刺身のように最後まで引いて切る必要があるような繊細なものには使えないだろうという一方で、ソロキャンプではレパートリーが増えそう。結局、使い分けかな?」

など数々の関心の声が寄せられている。

■投稿者さんに聞いた

岡根谷さんに話を聞いた。

ーー特に空中切りが一般的に浸透していると思われる地域はどこでしょうか。

岡根谷:特に浸透しているのは北アフリカ、中東、西アジアです。そもそも東アジアの箸文化圏の外では、手でちぎったりナイフを使ったりして、卓上で各自が切り分ける行為をするので、完成した料理をきれいにカットする道具は必要ありません。また、特にアジアやアフリカの暑い地域では、刺身やサラダのように生で食べる料理が少なく、しっかり煮込むものが多いので、大きさや形のばらつきが問題にならないのです。

ーー風土や生活様式が関係するのでしょうか。

岡根谷:地域以上に、その家庭の物質的豊かさによる違いが大きいようにも感じます。たとえば中東のパレスチナの中でも、キッチンが広くてモダンで道具がそろっている家だと包丁とまな板を使うけれど、田舎の昔ながらの焚火を使うミニマルな台所だと空中切りする、といった感じです。メリットもあります。中東は水が乏しい地域が多く、まな板を使わないことで洗うための大量の水が節約できますし、狭い台所や、台所じゃないところでも料理できます。

個人的には複数人で顔合わせてしゃべりながら料理できることや、野菜の形や柔らかさを直に感じることができるのもいいなと思っています。

ーー今回の反響へのご感想をお聞かせください。

岡根谷:そもそもこの投稿のきっかけは、世界の家庭で出会う人は空中切りをすごく上手にやるのだけれど、自分はさっぱりできなくて悔しくて練習し始めたことでした。コメントを見ていると、「上手にできない」という声が予想以上に多くて、自分だけじゃなかったとほっとしました。

◇ ◇

どういった調理法が一番優れているということはないが、岡根谷さんのお話を聞く限り、空中切りにはさまざまなメリットがありそうだ。ご興味ある方はぜひ安全に配慮した上でお試しいただきたい。

岡根谷さんは2020年に著書「世界の台所探検 料理から暮らしと社会がみえる」(青幻舎)で世界の台所事情について紹介。また今年3月1日に発売された、監修担当の絵本「世界の国からいただきます!」(徳間書店)ではイラストをまじえ世界26か国の食文化やレシピを紹介している。今回の話題に興味を持った方はぜひ合わせてチェックしてほしい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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