心筋症で余命宣告されながら、3年生き続ける愛猫 ずっと一緒だよ、そして…「春に生まれる赤ちゃんに会ってほしい」

心の拠り所である愛猫との1日1日を大切にしていきたい。飼い主のsayuhanamomoさんがそう思うのは、当たり前なように思える日々の尊さを知っているから。愛猫・はなちゃんは3年前、心筋症を発症。余命宣告を受けましたが、薬を服用しながら命を紡ぎ、今も隣にいてくれています。

■公園で暮らしていた野良の成猫をお迎え

出会いは、2012年の秋。飼い主さんは猫と暮らすため、ペット可の物件へ引っ越し。ネットの里親サイトで惹かれた子猫に応募するも、すでに里親が決まっており、「今は成猫しかいないので、子猫を保護したら連絡しましょうか?」との返事が。

その成猫が、はなちゃん。飼い主さんは、はなちゃんの写真を見て可哀想になり、会いたいと伝えました。

はなちゃんは警戒心が強く、まだ保護ができていなかったよう。飼い主さんはボランティアさんと共にはなちゃんが暮らす公園へ会いに行き、保護後、自宅へ連れてきてもらうことにしました。

外で暮らしている時は警戒心が強かったものの、お迎えしてみると、優しくて人も猫も好きだったことが判明。

同居猫のももちゃんとも仲良くなってくれ、一時期は、帰宅途中に保護したナナミくんの面倒もよく見てくれたそう。

「ナナミくんはももちゃんとの相性が悪かったため、今は里親さんの家で先住猫ちゃんと幸せに暮らしています」

毎日、お迎えやお見送りをしてくれる優しい愛猫と暮らす日々。飼い主さんは、大きな幸せを噛みしめていました。

■大好きな愛猫が心筋症を発症して闘病生活がスタート

ところが、2020年1月、はなちゃんの体に異変が。帰宅後に、ご飯をあげても食べてくれず、横でうずくまり始めたのです。

呼吸は早く、意識は朦朧。すぐに病院へ連れていくも、待合室ではなちゃんは、よだれを垂らしながら意識を失いかけていました。

厳しい状態かもしれない…。獣医師から、そう告げられ、はなちゃんはICUに入院。幸いにも5日間で呼吸の状態は良くなり、退院することができましたが、判明した病名は深刻。

心筋が硬くなることで心室が狭くなり、全身に十分な血液を送れなくなる「肥大型心筋症」か、心臓の内膜や心筋に線維化が起きて硬くなる「拘束型心筋症」であると告知されたのです。

心筋症を発症すると、平均余命は半年になる。そんな獣医師の言葉にも、飼い主さんは大きなショックを受け、絶望。

「初めて一緒に暮らした猫であるはなちゃんがいなくなることが考えられず、たくさん泣きました。どんなに不安な時でも、はなちゃんに抱きつくと落ち着く。私の心が安定しているのは、はなちゃんのおかげなので、いない生活は想像できませんでした」

はなちゃんは薬を服用し、定期的に通院することに。これまでに何度か、胸水や肺水腫が見られましたが、治療や服薬を頑張り、危機を脱してくれました。

その後、飼い主さんが結婚し、引っ越したことにより、月に一度、循環器認定医心臓病専門診療がある病院へ転院。最近では、通院頻度が2カ月に1回から月1回になり、薬の量も増えましたが、はなちゃんはまだまだ元気です。

「強心剤や利尿剤も服用するようになりました。けれど、病院の先生は、はなちゃんが苦しくないよう、できる限り対応すると言ってくれています」

現在、はなちゃんは食欲があるものの、体重は減少。同じご飯が続くと飽きてしまうため、飼い主さんは好きなものをたくさん食べられるよう、色々な種類のご飯をあげ、食事を楽しめるように試行錯誤。

呼吸は早く、咳が多くなっても大好きなおもちゃを前にすると遊びたがるため、興奮しすぎないよう、ほどほどを心がけ、スキンシップを取っています。

「はなちゃんは薬を飲む前、夫のベッドの下に隠れます。でも、大好きなモンプチを出すと、すぐに出てきてくれてかわいい。余命半年と言われてから3年が経ちましたが、今も走ったり、トイレに行ったり、水を飲んだりとまだまだ元気に過ごしてくれています」

同居猫・ももちゃんとも相変わらず仲良し。一緒に寝たり、ももちゃんの尻尾にじゃれたりと、微笑ましい姿を見せてくれています。

「お気に入りの場所を譲ったり、グルーミングしてあげたりと、ももちゃんがはなちゃんの面倒を見ている感じです」

まだまだお別れする気はないです。ずっと一緒だよ--。自宅で、はなちゃんにそう語りかけているという飼い主さんには、ある目標が。

「実は今、妊娠しており、今年の5月に出産するので、生まれた赤ちゃんを、はなちゃんに見せたいんです」

妊娠後、なぜか夜中のトイレ時には後ろを振り返りながら誘導してくれたり、お腹の横にぴったりと寄り添ってくれたりするようになったという、はなちゃん。

もしかしたら、はなちゃんも生まれてくる命と出会うことを待ち遠しく思っているのかもしれません。

優しいはなちゃんが新しい命をどう包み込み、愛を注ぐのか、今から楽しみになります。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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