接触部分が200度! ヒーター内蔵電熱ウエア、異常発熱によるやけどに注意 「背中に10円玉ほどの水疱が3つできた」「パジャマが焦げた」

 全国の家庭や企業を対象にした政府の節電要請が1日からスタートしました。そんな中、雑貨店やホームセンターなどでよく見かけるようになったのが、電熱ウエアなどと呼ばれるヒーター内蔵の衣類や雑貨です。コートやベスト、スリッパなど、さまざまなメーカーから多くのアイテムが登場。その一方で、「ベストの首元が焦げて穴が開いた」「充電しても温かくならない」といった苦情や相談も増えているといいます。

■相談5年半で228件「やけどした」「電源すぐ落ちる」

 電熱ウエアは、モバイルバッテリーなどを使い、内蔵した電熱線を発熱させ温める仕組み。胸元などにあるスイッチで電源のオンオフ、温度の切り替えなどを行います。

 国民生活センターによると、電熱ウェアについてPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられた相談は、2017年4月から2022年9月末までの5年半の間に228件あり、そのうち7割以上がジャケットやベストに関するものでした。

 事例の一部です。

【事例1】電熱ベストを使用していたら首元が焦げて穴が開いた。そのせいで他の衣服にも穴が開いた。(2022年1月受付、50歳代、女性)

【事例2】テレビ広告を見て電熱ヒーター内蔵ブルゾンを注文した。パジャマの上に着用したところパジャマが焦げてしまった。(2021年2月受付、80歳代、男性)

【事例3】店頭で購入した電熱ベストを後日着用したところ、やけどをした。背中に10円玉ほどの大きさの水疱(すいほう)が3つできていた。(2021年2月受付、50歳代、男性)

【事例4】1年半前に加熱式のベストを購入した。最近加熱の具合が良くなく、いつまでたっても温かくならない。(2022年4月受付、70歳代、女性)

【事例5】1週間前に通販で買った電熱ベストの電源がすぐに落ちて温かさが続かない。業者に交換を求めるため電話したが繋がらない。(2021年2月受付、40歳代、女性)

■接触部分の温度が200℃まで上昇する商品も

 国民生活センターでは、消費生活センターからの依頼を受け、ホームセンターやインターネット通販などで販売中の電熱ウエアのうち、12銘柄を対象に発熱体の構造と表示の調査、商品テストを実施しました。

 構造については、商品により使用される部品の構成や形状に違いはあったものの「発熱の仕組みに目立った差異はみられませんでした」。

 本体表示や取扱説明書に記載されている注意事項を調査したところ、「折りたたまずに保管し、電熱線等に負荷をかけないように」「他の暖房機器の近くや布団の中など、高温になる環境では使用しない」「防水機能は有していないので濡れた状態での使用を禁止」などの記載がありました。

 使用中の異常発熱を模したテストでは、断線部同士が不安定に接触した状態で通電すると、接触部分の温度が200℃まで上昇することがあったといい、「実使用の状態では、より高温になる可能性があるため、焼損ややけどにつながる危険性も考えられました。また、電熱ウェアの上から衣服を過剰に着用したり、暖房機器の熱を近くで受けた場合、電熱ウェアの放熱が妨げられ、発熱体がより高温になる可能性が考えられました」。

 国民生活センターでは、消費者へのアドバイスを3つを挙げ、注意を呼びかけています。

(1)電熱ウェアは衣服に暖房機能を持たせた電気製品です。ウエア内部の電線に負荷をかけないなど、丁寧に扱い、異常を感じたらすぐに使用を中止しましょう。

(2)取扱説明書及び本体の注意表示をよく読み、理解してから使用しましょう。

(3)製造元や販売元、仕様が明示された商品を購入しましょう。

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