「←理想　現実→」という文言とともに、頬を重ね互いの手でハートを形づくるお地蔵さんたち＝『理想』と、その横で全く同じポーズをとる僧侶たちの姿＝『現実』の写真がtwitterに投稿され大きく注目を集めました。色づく紅葉のもと、頬を、手を、寄せ合う姿はいずれもまさに「仲良きことは美しきかな」を体現しており、癒やされる人が続出中です。

　写真を投稿したのは「【公式】大船観音寺」（@oofunakannonji）のアカウント。以前も「エクセルを教わる僧侶たち」という文言とともに投稿した表計算ソフト習得に勤しむ様子が話題になり、「まいどなニュース」でもご紹介しました。

　「大船観音寺」は神奈川県鎌倉市にある、福井県の「永平寺」と神奈川県の「總持寺（そうじじ）」を両大本山とする曹洞宗のお寺です。境内にある全長約２５m白い大きな観音様が東海道線や横須賀線などの路線が乗り入れる大船駅前を通過する際に視界に入る、といえば「あのお寺」と思い当たる方も多いことと思います。

　投稿には「最高に可愛くて癒やされました」「平和で何よりですね」などと心が和んだことを伝える人たちもいれば、「B（坊主）L（LOVE）か」と上手にボケる人も。さらに「ご利益感すごいーー！！幸せーーーwww」などと喜びの声も届くなど、リプライ欄はほのぼのとしたあたたかい雰囲気に包まれました。

　日々寒さが増すこの季節、多くの人にぬくもりを届けたこの一枚を撮影した時のことを同寺の担当者に聞きました。

■1000万人以上の方にツイートを見ていただき、強い、強いご利益を感じる

－－リプライ欄を拝見すると、今回のお写真は「浅間山 泉洞寺」（長野県軽井沢町追分）で撮影されたそうですね。

大船観音寺でお勤めしていただいている僧侶の方が泉洞寺様の副住職もしており、今回色々な寺院の視察をする過程でこのお寺にも行こうという話になりました。

－－『理想』とされた２体のお地蔵様は？

「縁結び地蔵」と言います。こちらは人気のお地蔵様ですが、特に何か狙いがあった訳ではありません。仲間内で撮ったものですが、あまりにも面白かったので投稿させていただきました。お地蔵様のご利益はやはり名前の通り縁結び。現在1000万人以上の方にツイートを見ていただき、強い、強いご利益を感じます。

－－投稿に大きな反響がありました。

ボーイズラブだとかそれをモジってボーズラブだとか言われていますが、注目が集まって認知される事、話題になる事がとても嬉しく思います。

－－写真に癒やされた人達からの声が多数届いていますね。

（コメントは）気に入ったらスクショもします。今年7月にもバズりましたので「またこいつらか」と言われたのはかなり認知していただいてるなと思ったので嬉しかったです。

■これから迎える忙しい年の瀬を心穏やかに過ごすためには

　本年も残り少なくなってきました。来月は師走です。なにかと忙しく、毎年急かされるように過ごして気がついたらもう大晦日…という人も多いのでは。せっかくこの時期に取材させていただいたのもご縁です。ぜひこれから年末年始をむかえるにあたり、どのような心持ちで過ごしたら良いのか担当者に伺ってみました。

　すると「元々『師走』とはお坊さんが忙しくて走り回っている様子からできた意味の言葉なので私ども僧侶が何かこの時期に心安らかに過ごせるようなアドバイスを言うのもおこがましいのかもしれません」と前置きしたうえで以下のようにお話しいただきました。少し長いのですが、これから年の瀬を迎えるにあたり、非常に気づきに満ちた内容となっています。ぜひ参考にしてみてくださいね。

「ひとつお話しさせていただくとすると、我々は年末近くなりますと大掃除をします。当寺にあります大きな観音様を手が届くところまで拭き、長い竹で煤払いも行います。そうした年末の大掃除は皆様のご家庭でも毎年なさっていらっしゃるのではないでしょうか」

「この時、一緒に断捨離もしてみてはいかがでしょう。使わなくなってから何年もたつもの、もういらないもの、お一つくらいはありますよね。それらを断捨離して来年自分が気持ち良く過ごせるようになることで、少しでも落ち着いた新年が迎えられます。それはまた来年の自分へのプレゼントにもなるのではなかろうかと思います」

「師走の時期が忙しくなるのは、新年を気持ちよく迎えられるよう身の周りを綺麗にし、準備を整えるのが理由であると聞けば、年末に向け、皆様に忙しくも心穏やかに過ごしていただけるようなきっかけになるのではないかと存じます」（同寺担当者）

（まいどなニュース特約・山本 明）