犯罪者にとってゴミは「宝の山」 捨てた金融機関の封筒などから狙われる手口とは?元刑事が注意喚起

 愛知県内の住宅に警察官を名乗る女から「金庫に偽札が紛れているので確認させて欲しい」との電話があり、実際にやって来た“自称・警察官”の男が金庫から金塊1・5キロ(1245万円相当)と現金1千万円を盗んで逃走するという事件が発生した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は当サイトの取材に対し、こうした窃盗犯の手口を解説し、注意喚起した。

 愛知県警安城署によると、9月3日、同県知立市の50代男性会社員宅に警察官を名乗る女から電話があり、男性が不在だったため応対した80代の母親に「偽札のニュースが話題になっており、金庫に偽札が紛れているか確認させて欲しい」と伝え、数分後の同日午後0時半ごろ、警察官を名乗る男が訪ねてきて、母親が別室に行ったすきに金庫から金塊と現金を盗んで逃走した。男は白いマスク、白い半袖シャツ、黒いズボン姿で、黒いショルダーバッグを持っていたという。

 この事件について、小川氏は「被害者宅の金庫に多額のお金や金塊が入っていたことを事前に知っていた可能性が強い。事前に調べて計画していたのではないかと思います」と指摘した。

 その上で、情報入手の手口として、同氏は「この事件があった時期ですと、9月1日は防災の日なので、ニセの『電話アンケート』のようなものがかかってきて、最初のうちはコロナや病気関連、防災対策をしているかなど、お金と関係のない話をして、相手が信用して話をしてくれるようになると、『金庫はありますか。現金はどのくらい置いていますか。貴重品はどうしていますか』といった話を聞いていく。もしくは、個人情報の売り買いをしている者から、この家には多額の現金や貴重品があるか、いつ行けば人がいないかといった情報を入手することもある」と付け加えた。

 公的機関を装った『電話アンケート』のほか、窃盗犯が室内に金品を置いている家をターゲットにする手口について、小川氏は次のように解説した。

 「ATMで多額の金額を引き出しているところを盗み見し、その人を尾行して人通りが少ない場所でひったくる『途中狙い』という手口もあります。盗み見していたのとは別の者が実行犯としてひったくることもある。あるいは、自宅まで尾行して目星を付け、後日、盗みに入るケースも。また、ファミリーレストランや喫茶店、居酒屋などで何げなく交わされる『日常会話』から情報を盗み聞きされることもあります」

 さらに、小川氏は「ゴミ捨て」にも注意を喚起した。

 「銀行や金融機関から送られてくる封筒をそのままゴミ袋に捨てると、袋を破って情報を盗まれます。ビリビリ破ってゴミ箱やゴミ袋に入れるのも危険。銀行の封筒は色つきで、それを見れば、『●●銀行』と分かる。投資信託や定期預金をしている人には定期的に連絡が来るので、その残高を見て、例えば1千万円単位の残高があるような人を狙って、盗みに入る家の目星を付けていく。ゴミは人の他人の財産を狙って盗みを働く者たちにとって“宝の山”だと、よく言われています」

 預金の残高などが分かる紙はシュレッダーなどで完全に裁断する必要があるだろう。

 こうした実態を踏まえて、小川氏は「振り込め詐欺の電話だけでなく、詐欺や窃盗目的の偽装アンケートなどの電話にも注意が必要。『自宅に現金を置いているか』と単純に聞くのではなく、『震災等の場合、いざという時に持ち出せる現金は用意していますか?その現金は100万円以下ですか、100万円以上ですか?』などと防災に絡めて聞いて来ることが多い。アンケート等でもお金の話が出たら要注意」と呼びかけた。

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