小3夏休み自由研究 発表します、最強の濾過装置は…「思ってたんと違う結果のほうがワクワクする」

夏休みの自由研究の定番といえる、水の濾過(ろか)実験の結果がSNSで話題です。頑張って作った定番の簡易濾過装置に泥水を流したものの、得られたのは濁り水。そして劇的にきれいな水を生み出したのはあの生活用品でした。発表します、最強の濾過装置は…。

小学3年の次女の夏休み課題を手伝った、Twitterユーザーのほうおん(@Houon_gp03)さん。東京都下水道局のWebサイト「下水道アドベンチャー」を参考に、濾過装置を作りました。また濾過装置と身の回りのさまざまな品物の比較も実験。「ティッシュを何枚か重ねたもの」を濾紙として実験をしてみると、待っていたのは予想もしない結果でした。

「頑張って作ったろ過装置よりも、比較実験として作った「ティッシュを何枚か重ねたもの」のほうが遥かに綺麗にろ過できてしまい、頭を抱えている」という嘆きのツイートが6万近いいいねを集めました。ほうおんさんに聞きました。

ー濾過をテーマにしたのは

「テーマは家内がいくつかテーマを提案し、その中から娘が選びました。理由は最近見たテレビ番組に影響されたようです」

ーティッシュのすごさを知った時、お子さんは

「雑巾、ハンカチ、コーヒーフィルター、不織布マスクも比較実験に使いましたが、明らかに違ったため、目を丸くして驚いていました。実は私も初めて知りました。わが家調べですが、2位以下はコーヒーフィルター、ハンカチ、雑巾の順で、不織布マスクは水を通さず濾過できませんでした」

ー無敵のティッシュですが、弱点はありましたか

「耐久性がそう高くありません。そして濾過にかなり時間がかかります。濾過の最中にティッシュ全体が濡れ、コップ外にはみ出している部分からも水が滴ってしまったため、水を集めるのは工夫が必要でした」

ー自由研究の結論部分をどうまとめるか、悩みますね

「今も考え中です。濾過装置は想定と違って一度では綺麗にならなかったこと、でも何度か繰り返すと透明になっていったことを書き、ティッシュに濾過性能があったことも感想として記そうと思います」

予想通りにいかないからこそ実験は面白く、その原因を考えることが科学的思考のチャンス。ほうおんさんの投稿に対して、さまざまな意見や考察が寄せられました。「思ってたんと違う結果のほうがワクワクする」といったコメントも。

ほうおんさんは「ティッシュの濾過性能に驚かれた方、濾過装置に問題があるのではと考える方、とにかく面白いつぶやきを残していく方、反応は様々でしたが、ご自身の経験を思い出されていた方や、お子さんとの自由研究に活用したいなどの声もいただき、うれしく思いました」と話しています。

■脱脂綿の代用品として開発

寄せられた考察の中で興味深いのが「ティッシュは第2次世界大戦でガスマスク用のフィルターとして開発されたもの。石ころに負けるはずがない!」という指摘。家庭紙の卸売を扱うアズフィット株式会社(東京)のサイトでは、紙やマスクのトリビアを紹介しており、ティシュペーパーの歴史が記述されています。

それによると、ティッシュペーパーの誕生は、1924年にアメリカのキンバリー・クラーク社がメイク落とし用として『クリネックスティシュー』を発売したのが始まり。第1次世界大戦中に不足した「脱脂綿」の代用品として開発された「セルコットン」の技術を活用しました。

発売当初は、紙1枚1枚が折らずに箱に入っており、現在のように1枚ずつ出てくるポップアップ機能が開発されたのは5年後の1929年といいます。それまで女性たちはメイク落としに布やタオルを使っていたため、洗う手間がかかり、非衛生的になりがちでした。また、市場調査を実施したところ、ハンカチがわりに使っている消費者が多いことが分かり「使い捨ての出来るハンカチ」として広告を展開。ティッシュはアメリカ人の日常生活に浸透していきました。

日本では、1963年10月に山陽スコット(現日本製紙クレシア)が『スコット・トイレットティシュー75m(シングル)』を発売し、翌1964年2月に「トイレットティシュー」に継ぐ製品として、日本初の箱入りティッシュペーパー『スコッティ・フェイシャルティシュー』が発売されました。同年6月には十條キンバリー(現日本製紙クレシア)からも『クリネックスティシュー』が発売されました。当初は高級化粧紙としての用途を想定していましたが、多目的に使える「アメリカ生まれの万能ハンカチ」として消費者に受け入れられ、販売量を伸ばしていきました。

ティッシュペーパーの殆どが2枚1組なのは、強度とやわらかさを兼ね備えるために、薄い紙2枚を重ね合わせて作っているからです。紙にはざらざらな裏面とつるつるの表面があり、2枚の紙の裏面を合わせて表面を外にすることで、どちらの面でも肌触りが良くなるように工夫されているそうです。

今年夏は間に合わないかもしれませんが、2023年夏休み研究には、ティッシュの種類ごとの濾過能力や耐久性を調べる科学キッズが登場することを待ちたいと思います。なお、簡易濾過装置やティッシュで濾過された水でも、細菌などの微生物が含まれている可能性があるため、飲用する際は煮沸による殺菌が必要です。

(まいどなニュース・竹内 章)

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