捨て猫2匹を迎え入れた飼い主「今の自分ができることを考えた」 きっかけは8年前に救えなかった命

■公園に捨てられていた子猫たち

颯(そう)くん、琉(りゅう)くん(ともに1歳・オス)は、2020年11月、兄弟と一緒に公園に捨てられていたが、保護団体のボランティアに保護された。子猫は全部で5匹いたが、颯くん・琉くんは、小柄で猫かぜをひいていたのでなかなか里親が見つからず残っていた。

■救えなかった命

千葉県に住むHさんは、子供の頃から家にずっと猫がいたので、猫と暮らすのは自然なことだった。何年も前の忘れられない出来事がきっかけで保護猫を迎えたという。

2014年8月、Hさんは出張先の公園で、ビニール袋に入れられた生後数日の子猫を見つけた。見過ごせずに保護して、病院に連れて行くなど手を尽くしたが、衰弱が激しく救うことができなかった。そのことは今も心残りだという。

「この経験に加え、痛ましい動物虐待のニュースを見ていたら、大好きな猫を一匹でも救いたい…という気持ちが強まりました。本当は保護や里親探しといった活動に直接関わりたいですが、とても大変であることも理解しています。ただ、だからといって何もしないのではなく、今の自分ができることからと考え、保護猫の里親になることを決めました。万事に言えることでしょうけど、0か100かで考えず、できる範囲で良いから行動することが、猫の保護においても大切だと思っています」

■巡り合わせ

Hさんは最初、颯くん・琉くんの兄弟の里親募集情報を見て興味を持ったが、その時は時機を逃した。「その次の回に出てきた颯と琉の写真を見て、一目惚れしました。これも巡り合わせだと思います」。昨年1月、譲渡会に行くと、他にも可愛い猫がいたが、颯くんが自分から寄ってきてケージの隙間から手を伸ばしてきた。Hさんはすっかり惚れ込んで、颯くんを迎えることにしたという。その間、琉くんはずっと寝ていたが、1匹では寂しいだろうと思い、ボランティアも「2匹一緒に」と希望したので、兄弟揃って迎えることにしたという。

同年2月13日、ボランティアが2匹を届けてくれた。最初は緊張しているように見えたが、すぐに慣れて家の中を探検した。譲渡会で寝ていた琉くんも、物怖じせず元気に遊んでいたそうだ。

「仰向けになったり手足を伸ばしたり、自由奔放に寝ている姿を見ると、『安心して過ごしているんだな』と実感できて、嬉しくなります」

■猫のために頑張ろう

颯くんは、顔も性格も丸っこい印象で、人懐っこく、背中に乗るのが大好きだ。琉くんは、人目を盗んでいたずらをするのが好きだ。少し警戒心が強いところがあり、猫らしい性格なのだという。兄弟の中でもひときわ小さかった颯くんは、体調を崩すことが多く心配だったが、今や琉くんより大きく、丈夫になった。養うべき家族が増えたことで、仕事のモチベーションが上がったというHさん。

「デスクワークの最中、机や背中に飛び乗ってくるのはやめてほしいけど、それでも許してしまいます。猫に関する出費は決して小さくはありませんが、それ以上のものを猫から受け取っています。彼らのためにも頑張ろうと思えます」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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