“電車愛”を止めるな!?新春恒例…「鉄道博」が2年ぶり開催 鉄道会社集結、個性豊かな展示に「沼」の深さ実感

 毎年1月の三連休に、大阪南港のアジア太平洋トレードセンター(ATC)で開催される「鉄道博」。コロナ禍で去年はネット上のバーチャル開催になってしまいましたが、今年はめでたくリアル会場が戻ってきました。

■圧倒的なプラレールの塊がお出迎え

 会場のATCギャラリーは、大阪南港のアジア太平洋トレードセンター内にあります。ここはとても広い施設なのですが、その中でもニュートラムの駅を降りてすぐの、アクセスのいい場所での開催です。

 入り口の前、いきなりカラフルなプラレールの「タワー」が圧倒的なボリュームで出迎えてくれます。亀鈴トイレールクラブこまちさん出展の巨大レイアウトです。タカラトミーのプラレールというと、実際の車両を絶妙にデフォルメしたかわいらしいフォルムが人気ですが、いわゆる「鉄道模型」としてはお子様向け、というイメージが強いです。しかし「まず壊れない丈夫さ」とか「車両内に電池を搭載して単体で走れるシンプルさ」が絶対的な強みですよね。配線とか考えなくてもレールを繋げば何台でもどこからでも走らせられるんですから。ということで、このレイアウトは「自分の車両を勝手に持ち込んで好きなだけ走らせられる」という、とても楽しい場になっています。

■鉄道会社から個人商店まで、魅力的な展示でいっぱい

 会場内に入ると、最初に目に入るのが今回のイベントの特別協賛、緩まないネジでお馴染みのハードロック工業さんの展示です。ものすごく大きなスケール(ごめんなさい、ゲージがわかりません)のED75が北斗星のヘッドマークを付けて行ったり来たりしています。パンタグラフを通じて架線から電気を取っているようです。模型もこのサイズになるともう工業機械という感じですね。ジオラマのプラットホームにはネジの乗客が立って待っていました。

 その隣は「たま駅長」で有名な和歌山電鐵さんと、泉北高速鉄道さん。そして南海電鉄さんと、鉄道会社のブースが続きます。

 ひとつ奥に入ると、あの「となりの人間国宝さん」のステッカーが貼ってあるのが目にとまりました。奈良の五條新町でお店をされているジオラマ工房Y.Nさん。希少なメーカーの車両を即売されています。「ほとんど委託販売なんですよ。みんな歳いって整理で手放しはるんです」とのこと。終活というとなんとなく寂しいですが、こういう趣味のものはやっぱり、自分が元気なうちに正しい価値がわかってくれる人に譲りたいということでしょうか。他にも、ジオラマ(レイアウト)の製作と販売、さらにはジオラマ作りの教室なども催されているそうです。

 方向幕の巻取機、というニッチな商品のデモをされていたのはヤノ写真製版さん。これまで40年にわたって地下鉄や私鉄、バスの方向幕を印刷されてきて、それを家庭でも楽しめるようにとこの巻取機を完全自社製造されたそうです。方向幕って部品の販売会などで入手して、でも額に入れるのには長すぎるし、って感じでそのまましまい込んでしまいがちですよね。これはおしゃれでいいなあと思いました。

■ふとそこに「電車を止めるな!」のあの人が

 あの銚子電鉄が製作した話題の映画「電車を止めるな!」のチラシが置かれたブースに、なんとなく見覚えのある女性がいらっしゃいました。

 あー!映画で「霊媒師・広瀬じゅず」をされてた、あの人!まさかこんなところでお会いできるとは!

 あの映画、筆者は京阪門真市駅前の高架下の上映会で観たのですが、その怪演ぶりが思いっきり印象に残っています。もう一度また観たくなりました。来週の週末に上映会があるそうです。……銚子で、ですが。

 会場の一番奥には、NゲージとHOゲージの大きなレイアウトやトレインシミュレーターなどの体験型のブースが並んでいて、大勢の家族連れで賑わっていました。そしてその手前の「本日分は完売しました」の札は、お弁当の淡路屋さんです。0系新幹線、ドクターイエロー、キティちゃん500系、そして最近話題の鉄道コンテナ型お弁当、あっという間に全て完売したようです。

■鉄道好きの広がりを感じます

 銚子電鉄さん、いすみ鉄道さん、くま川鉄道さん、肥薩おれんじ鉄道さん、えちごトキめき鉄道さん、京都丹後鉄道さん、いずれ劣らない魅力的な展示を巡って、ふと行き着いたのが工房さくら鉄道さんのブース。アクリルケースに入ったNゲージの車両一両分の小さなジオラマがたくさん並べられています。鉄道模型の車両って、自宅にレイアウトを作っている人は別にして、特に走らせるでもなくついついしまい込みがちなんじゃないかと思いますが、こういうケースに入れて飾ればいい感じですよね。リーズナブルな価格ですし、これはちょっと欲しくなりました。

 レイアウトのほか、写真もたくさん販売されてます。副社長さんが撮り溜めてこられたものだそうです。その写真を見ながらいろいろとマニアックな説明をしてくださって、社員さんみんな鉄道大好きなんだなあと思っていたら、その方は実は社員さんではなく、社長さんのお友達のTさんでした。二人の娘さんにそれぞれ新幹線の名前を付けた、という筋金入りの鉄道ファン。

 いやー、鉄道沼の深さに改めて感じ入った鉄道博でした。

   ◇   ◇

 鉄道博2022はATCで1月10日(月・祝)まで開催中です。かるーい鉄道好きの皆さんも、鉄道沼の住人の方も、ぜひお出かけください。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

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