農道に捨てられていた子猫が、孤独を癒してくれた 猫目当てに人が訪れ、笑い声が絶えない家庭に

生まれて初めて訪れた保護猫カフェで「運命の出会い」。でも、栃木県のOさんにとっての運命の出会いは「猫」とではなく、「人」でした。動物啓蒙活動をしている女性との出会いが、Oさんの運命を大きく変えました。

その女性とはYさん。この時、保護した猫を保護猫カフェに連れてきていました。最初は立ち話だったのが、話し込んでしまい、遂には男の子の子猫を1匹譲渡してもらうことに。Oさんは当時、なんともいえない孤独感に苛まれており、それを飼い猫のこむぎちゃんに慰めてもらっていました。もう1匹増えると、もっと楽しいかもしれないと考えたのです。

譲ってもらう子は、段ボール箱に入れられて農道に捨てられていた子猫。両目が目ヤニで塞がって、人が近づいてきたのも分からないぐらいだったそう。その時の写真を、後日見せてもらいました。この姿を見たら、もう二度とこんな思いはさせないようにと強く思ったといいます。

こむぎちゃんに「もう1匹、猫が来るよ」と話し、生後4カ月ほどの子猫を迎え入れます。こむぎちゃんは最初こそ「シャー!」と言っていましたが、相手は子猫。すぐお世話を焼くように。

子猫は、Yさんの名前から一字いただいて「陽太(はるた)」と名付けられました。この陽太くんがすごいんです。迎えられた初日、こむぎちゃんが「シャー!」と言う中、家の中でくつろぎまくり。一瞬で「ここが、ぼくんち」という感じだったんですよ。この時の様子をOさんはこう言います。

「きっとYさんがよく面倒を見てくれて、すぐ馴染むように育ててくれたんだと思います」

甘えん坊な陽太くんは、こむぎちゃんに甘えまくり。こむぎちゃんも悪い気がしませんから、優しく接します。

陽太くんの甘えん坊は、来客にも発揮されるんです。ドアを開けると、「いらっしゃい」とお出迎え。すぐさまコロンところがってヘソ天を披露し、「遊んで遊んで」とするんです。撫でられると、すぐゴロゴロ。

誰に対してもこんな感じですから、猫好きでなくても陽太くんにメロメロです。息子の友達もよく遊びに来るようになりました。陽太くんの動画を撮って、つらい時には眺めるんですって。だって、帰ろうとすると「帰らないで」と後追いをしてくれるんです。可愛い以外の言葉は出てきません。

こうやっていろんな人が動画や写真を撮るもんですから噂が噂を呼び、今ではOさんの家は陽太くん目当てで遊びに訪れる人が増えたんです。Oさんはもう孤独だなんて言っていられません。それもこれも、あの日、保護猫カフェでYさんと出会ったから。正しく運命の出会いでした。

その後、茶々丸くんという子猫も迎えることになり、3匹の猫と暮らすOさん。猫のおかげで気持ちの落ち込みがなくなりました。今では猫がいない生活が考えられません。猫のために、仕事に家事に精を出す日々です。

今、Oさんが猫たちに思うことがあるそうです。

「そのままの陽太で、幸せに過ごしてくれたら嬉しいです。恐らく私たちより先に虹の橋のたもとに行きます。どの子にも言えますが、うちに来て良かったと思って旅立ってもらえれば」

こうやって愛情いっぱいで猫のお世話をするから、陽太くんも愛情をいっぱい返してくれるのでしょう。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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