アートとデジタルがタッグを組んだオンライン展覧会HUAHUAとは?リアル集客につなげる仕掛けも

昨年11月に、ネット上でアーティストの絵画作品を鑑賞できるオンラインギャラリー「HUAHUA(ホアホア)」がオープンした。正面以外にも、上下左右いろいろな角度から3D感覚で絵を鑑賞でき、まるで絵の前にいるような感覚に。今では、海外から参加する作家や鑑賞者も増えた。

なぜこのようなサイトを作ったのか。サイトを運営する合同会社HUAHUA代表で、自らも絵を描く谷口雅之さんに聞いた。

■国際色豊かなギャラリーはオンラインならでは

オンラインギャラリーHUAHUAがオープンして8カ月。今では日本語の他に、英語と中国語にも対応する。ギャラリーには油絵やイラスト、また墨を使ったハンドドローイングや、現実世界を映した写真に絵をはめ込むアート界のAR手法など、個性的な絵がそろっている。

展示する作家15人のうち4人はパキスタン人やインドネシア人、カンボジア人に台湾人と国際色も豊かで、各国の伝統や習慣を反映したテーマや色使いも見どころ。

3Dモデル化されたサイト内の絵は、鑑賞者の視点を自在に変えられるほか、明度や背景の色も調整可能。また、作品には作家の解説が添えられ、メンバー登録した鑑賞者がコメントできるのも、オンラインギャラリーならではだ。

■ 作家とファンを結ぶ仕掛けも

 「サイト開設のきっかけは、新型コロナウイルスです。ギャラリーをはじめ、小規模展示スペースを提供してくださっていた施設が、軒並み休業せざるを得なくなりました」と、昨年のコロナ禍を振り返る谷口さん。自らも絵を描く立場で、展示の場を失った作家たちの気持ちは痛いほどわかる。

ある日、自身が中国語を学ぶ大阪大学の学生の一人に「展示可能なオンラインサイトを作れないか」と相談。それが縁で出会った和田哲也さん(工学部4回生)がHUAHUAのシステムの核を構築し、そこに同じくシステムに強い3人の学生も加わって現在のオンラインギャラリーが誕生した。

「お金はかけず楽しさ追求」をモットーに、オンラインの特性を生かす工夫をする中で開発、搭載したのが、作家とファンとを結ぶ機能だ。特定の作家の作品を観にくる鑑賞者を分析し、将来その作家が実際に展示会を開催するとき、鑑賞者のところへ展覧会の案内メールが自動配信されるというもの。これによって、サイトで知った作家とファンとが、コロナ終息後にリアルな場で会うチャンスを演出できるというわけだ。この仕掛けは当初から谷口さんが求めた機能だったという。

HUAHUAの鑑賞者は、スマートフォンからが約75%。子育て中の女性や美容師などのビューティ関係、建設業関係者などが多いそう。

「アートに関心があるにもかかわらず、ギャラリーや美術館になかなか足を運べない方が多いですね」

春に中国語のサイトをオープンして以来、台湾や香港からの鑑賞者が増えた。5500人以上の累積ユーザーのうち、10%強が外国からの訪問者という。「中国語版の翻訳は、私の中国語の先生に依頼しました。学生の彼らや周囲の人たちの支えで運営しています」と谷口さん。

「ホアホア」は中国語で「画画」、「絵を描く」という意味。コロナ禍を機に、オンラインで人々の生活をより良い方へ進化させる取り組みが、アートの世界にも及んでいる。

 HUAHUAでは今秋「秋フェスタ」を開催予定。コンペ形式で、最多「いいね」獲得者に最優秀賞を授与。ほかにもブービー賞や審査員特別賞など多数の賞を用意する。詳しくはHUAHUAサイトにて案内。出品無料。

(まいどなニュース特約・國松 珠実)

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