「なぜ生理用品はトイレットペーパーのように常備されてないの?」…女性の悩みから生まれた「OiTr」今夏開始 

外出中のトイレにて。使用者は設置されている無料のトイレットペーパーを、当たり前のように使う。しかし女性が突然生理になってしまったとき、個室トイレに生理用品はない。どちらも同じ生理現象であるはずなのに、どうしてトイレに生理用品は設置されていないのか。 

そんな疑問から誕生した、生理用ナプキンの無料化を目指すサービス「OiTr(オイテル)」。開発したのはオイテル株式会社(東京都)だ。ショッピングモールやオフィス、学校、公共施設など、外出先の個室トイレにナプキンを常備し、無料で提供するサービスを開発した。

使用方法は極めて簡単。生理用ナプキンを使用したい場合は、まずは専用の無料アプリをインストールし、ユーザー登録を行う。個室トイレに設置されているディスペンサーにスマートフォンを近づけると、取り出し口から1枚の生理用ナプキンが出てくる。「生理用ナプキンを無料で提供する」というビジネスモデルは、ディスペンサー付属のモニターに流れる企業広告によって実現している。

「根底にあったのは、社会的な課題を解決したいという思いでした。そこでジェンダーギャップに着目したんです」。開発スタート時を振り返るのは、オイテル株式会社の飯崎俊彦さん。「ジェンダーギャップはあらゆるところにあります。例えば、今では働く女性は増えましたが、一方で女性特有の健康問題や心身の悩み、それによって生じる金銭的な問題は解決されていません。それらの負担を軽減できるような環境を整えたいと思ったんです」

そんな中、ネット上でこんな声に出会った。「なぜ、生理用ナプキンはトイレットペーパーのようにトイレに常備されていないのか」。そこからリサーチを進めるうちに、さらに生理に関する女性の悩みがあることがわかった。十分な知識がないままに初経を迎えて混乱する子どもがいること。生理中にポーチを持ち歩きながら人目を気にしてトイレに向かう女性が多いこと。生理用品にお金をかけられないという「生理の貧困」が存在すること。

また開発に携わった同社の小倉むらなさんにも、こんな経験があった。前職でスイミングスクールのインストラクターをしていたとき、初めての生理を迎えたことで水泳をやめたり、試合や記録会を諦めてしまう生徒が多くいた。こうした「諦め」は、社会に出た後も何らかの形で続くものだ。そうした女性の悩みを象徴する「生理」の悩みを、ビジネスで解決したい。そこで誕生したのが「OiTr」だった。

「必要とする全ての人に、生理用品が行き届く社会にしたい」と話す飯崎さん。そのためにこだわったのが、無料アプリの開発だ。必要とする人が入手できない状況をさけるために、アプリが枚数・時間の管理や制限を行う。またスマートフォンを使えば、ディスペンサーへの手の接触を防ぐことができるため、衛生的にも安心だと話す。

OiTrのリリースは、夏頃開始の予定。すでに3月に実証テストを行った。飯崎さんは「生理用品メーカーなどの企業はもちろん、国や自治体との連携を図り、外出先でためらいなく無料で生理用ナプキンを使用できる、そんな世の中を作っていきたいです」と意気込んでいる。

(まいどなニュース特約・桑田 萌)

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