児童文学のありように文句つけたがるのは大人の方が多い? 児童文学作家のSNS投稿が話題に

「児童文学のありように文句つけたがるのは大人の方が多い」

児童文学に携わるあっきーさん(@Akkie155)の投稿がSNS上で大きな注目を集めている。あっきーさんによると、児童文学に難しい語彙を使うと、子供ではなく大人から難色を示されるということがあるらしい。

しかし子供自身はかえって難しい語彙に抵抗が無く、興味を持った子供は意味を調べるし、こだわらない子供は読み飛ばすだけ…。あっきーさんのこの指摘に対し、SNSユーザー達からは

「ガキの頃の俺もだけど子供なんて進んで勉強なんてやりたがらないんだから漫画とか児童文学とか「娯楽」から知識を得るのが1番だと思うんですけどね。

自分もそうだったな。漫画とか読んでてわからんとこは親に聞いたりして吸収していきました。強制じゃなく自主的に知る方がいい吸収しそうだし」

「ふりがなは振ってほしいなぁって思ったのだけは覚えてる。

あとは何と無く勢いで分かったし、ふりがなのお陰で漢字の読み方も覚えたし、書けはしないけどそれだけでも色々な大人の文字が読めるから楽しかったなぁ」

「子どもにとって、初めて見る言葉は全部同じ『知らない言葉』。

そこに『簡単』だの『難しい』だのの区別はない言葉に『難しい』というレッテルを貼って、子どもにそう刷り込んでるのは大人側ですよね」

「今はむしろ子供に寄せ過ぎているんじゃないかと思いますね」

など数々の賛同のコメントが寄せられている。

今回の投稿についてあっきーさんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):今回のご投稿のきっかけをお聞かせください。

あっきー:前後のツイートを見てもらえるとわかりやすいと思うんですが、あの日、難しいことばを用いている小説に対して「気を付けよう」と呼びかけるツイートが炎上していまして、それに対する一連のツイートの一つが偶然反響を呼んだ感じです。

わたしは別名義で児童文学に関わっており、その仕事の中で尊敬する大先輩に「難しい言葉を子どもの本に使っちゃいけないということはない、子供は知らなければ調べます」と言われたことが念頭にありました。もちろん児童文学には、大人向けとは違う表現方法があります。が、それは難しい語句や漢字を避けるというような単純なものではないのです。

また「文句を言うのは大人に多い」というのは大人が児童文学の捉え方を間違っているという意味では書いていません。大人も子供もわからないことはある。ただ、その時、黙って投げ出すか、そのまま飲み込むか、立ち止まって知ろうとするか、さらにわからないものを攻撃するか、様々な反応がある中で「攻撃に走る人は子供にはあまりいないな、大人が多いかな」という私自身の印象を述べたものです。

件のTwitterでの炎上ツイートはその「攻撃」に当たるもののようにわたしには見えました。これもまあ、恐らくは大人かなあと思います。大人と子供の境はどこにあるかと言われると困るんですけど。

中将:児童文学を手掛けるにあたり、あっきーさんが子供たちに伝えたいことや、得てほしいと思われることをお聞かせください。

あっきー:「文字を追う楽しさを知ってほしい」と思って書いています。「面白さや先を知りたいと思う好奇心が内容の難しさや文章のかみ砕きにくさを凌駕すれば、読み通す力になれるかな」、「読み続けることで、少しでも読解力がついて、いつか自分の知りたいことに躊躇しない生きる力になってくれればな」と。

中将:今回のSNS上の反響についてあらためてご感想をお聞かせください。

あっきー:引用リツイートやコメントではご自分の経験を語ってくださる方や好意的な意見が多く、炎上でなくてよかったと胸をなでおろしています。あっという間にお返事を書ける数でなくなってしまい、ほぼ放置なのは申し訳ないです。

あえて追記するとすれば「易しいから子供向け、難しいから大人向け」という分け方は雑すぎると思います。世の中にはいろんな表現が存在します。ご自身に合うものを探して、選んで、楽しんでいただけたらいいのではないでしょうか。書き手としては、売れることより「私にぴったり!」と誰かに感じてもらえることが幸せです。もちろん売れるに越したことはないですが(笑)。

◇ ◇

筆者も子供時分は色々な本を読んだほうだった。知らない言葉は大人に聞いたり辞書で調べて、本を一冊読み終えるたびに自分の知識や世界観が広がったような気分になったものだ。知識を得るということに対して、自由に、前向きに取り組めていた子供時代…あっきーさんのお話を聞いて、あの頃の気持ちを少し思い出せた気がした。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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