コロナ禍で酒米・山田錦もピンチに 神戸の女性画伯がイラストで支援、日本酒“かおる”グラスを販売

 神戸のボールペン画家「薫画伯」こと橋本薫さん。「のんべえ画伯」とも称されるお酒を愛する“女神”の酒米「山田錦」への想いをデザインした「日本酒“かおる”グラス」がこのほど完成した。

新型コロナ危機で減産を強いられる至高の酒米を支援するために、女性にも日本酒を楽しんでもらおうと、仲間の女性たちと企画した。「家族や親しい友人とともに年末、年始を日本酒でほっこり過ごしてもらえたら」と呼び掛けている。

 ボールペンと紙があれば、アートを楽しめる-をモットーに、橋本さんは神戸を拠点に、パリやドバイ、バンコク、シカゴなど海外でも個展やワークショップを開くなど多彩なアーティスト活動を展開している。

 妖しくユーモラスに表現された女性や猫などの動物から、絵から飛び出てきそうな力強いオーラを帯びた龍まで、緻密なペンの線から描きだされる作品は、どこか懐かしさも感じさせる。

 日本酒グラスをデザインしたのは、飲み友達の神戸新聞社の女性社員から、日本酒の原料となる兵庫県原産の酒米・山田錦がピンチになっていると聞かされたのがきっかけだった。

 「つくりたい酒を表現できる最高の原料」として多くの造り手が求める兵庫の山田錦は、地元の「剣菱」や「白鶴」はもちろん、「十四代」(山形県)、「田酒」(青森県)など人気の地酒まで全国550の蔵元が使っている。

 各蔵が醸す吟醸造りや純米造りの日本酒は、食材にこだわった料理店などで扱われているが、宴席自粛などで消費が激減。山田錦は、今年大幅に田んぼの作付けを減らしたが、翌年さらに生産調整を強化せざるを得ない状況に追い込まれている。

 「女性の日本酒ファンを広げるのが課題と聞き、のんびり家で楽しむ女の子をイメージしました」と薫画伯。

 昼と夜をテーマに制作されたペアの「日本酒“かおる”グラス」は、山田錦の冠をした女性と猫が、それぞれ太陽と月とともに描かれている。

 「海外で日本酒人気が広がっています。私も作品のインピレーションを得るお酒を楽しみながら、勉強していきたい」と山田錦と日本酒への想いを語る。

(まいどなニュース/神戸新聞・辻本 一好)

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