ついにミニ軍艦島を発見してしまった! ゼンリン公式さんの地図愛が止まらない…地理歴史の教員免許も

記者が取材時にお世話になっている住宅地図。その代名詞ともいえるゼンリンの公式ツイート(@ZENRIN_official)が、地名や地図に関するネタ、いや蘊蓄を惜しげもなく披露している。最近では、孤島ファンの間で知る人ぞ知る存在だった津村島(福岡県北九州市)を“発見”。12月の最初の投稿では、「愛知県岡崎市の師走田(しはすだ)」という今どきの中年でも口にしない地名ダジャレをぶつけてきた。この、あふれんばかりの地図愛は一体どこから?

「見つかってしまったか」「さすが。目の付け所が違う」などと、島好きさんらに刺さったのが、津村島を取り上げた11月25日の投稿だ。Googleマップを確認すると、新門司港の北エリアにある津村島は、埋め立て地に飲み込まれているように見えるが、開発を免れ形がそのまま残されている。島の中には池があり、しかも小島もあるというかなり珍しい地形だ。

地域資源を紹介する北九州市のサイト「時と風の博物館」では、〈津村島は石灰岩からなる島であったため、明治40年頃より採掘が行われておりました。遠くは広島県よりこの島に移住してきており、石灰製造業や採石業者として39戸200人余りが住んでいたとされています。当時は爆破音等で随分にぎやかであったようです。現在は、採掘によってできた大穴に海水が流れ込み大きな池となっています。〉と記述されている。小さな島に大勢の人が住んでいたことから「ミニ軍艦島」と形容するブログもある。

ゼンリン公式さんは、こうした「地的ネタ(=地図、地理、地形…などのネタの意)」を連投。最近の分を記者が分類すると、珍名=秋田県八郎潟町の「昼寝」(11月23日)▽形状=北海道えりも町にあるハート形の豊似湖(11月22日)、前橋公園の池の形は群馬県である(10月28日)▽秘境駅ロマン=山口県の清流みはらし駅は降車のためだけにある(10月14日)▽土地の履歴=千葉県船橋市の環状道路(10月31日)▽豆知識=京都には日本で唯一「天使」のつく地名がある(10月4日)▽「半沢直樹」っぽい地名=東京都八王子市にある大和田暁(東京中央銀行元常務取締役)通り(9月27日)。

珍名で驚かせつつ、トリビアいや博識ぶりをさりげなくひけらかし、トレンドにもしっかりのっかるという抜け目のない万能型である。地理歴史の教員免許を持っているというSNS担当者に聞いた。 

-博学ぶりに圧倒されました。

「話題の集め方ですが、地図ありきというより、皆さんが普段見聞きしていることやトレンドを弊社のことや地図に置き換えて、へぇと思っていただけるよう心掛けています。個人的な趣味(ゲーム)も含め、これ面白いかもと思ったらまず地図を見る、みんなに伝えたいとなればツイートする、という感じです。すべてが知識として入っているわけではありません!(笑)」

-話題になった津村島は…。

「北九州の社員から『こんな面白い場所があるよ』と情報提供がありました。仕事柄でしょうか、弊社は旅好きが多く、全都道府県を制した社員が珍しくありません。旅先から情報が寄せられることもあります。鉄道好きの上司からは鉄道ネタです。ありがたいことにフォロワーさんからも情報が寄せられます」

-東京都内で会心の投稿を挙げるとすれば。

「道の日(8月10日)にちなんで投稿した菅原橋交差点です。江戸川区にある、日本最多とされる11叉路(さろ)です。実際に車で走りましたが、複雑すぎて頭が混乱しました。フォロワーさんから教えてもらった、八王子の大和田暁通りもお気に入りです」

-兵庫ネタ、神戸ネタを。

「姫路市の豆腐町をご存じでしょうか。豆腐がつく地名は全国に4件(ゼンリン住所調べ)あるのですが、姫路の豆腐町は主に姫路駅のコンコースとロータリーからなります。姫路駅を利用される方は、知らぬうちに豆腐の地に降り立っていると考えると面白いです。神戸なら須磨区にある車交差点でしょうか。車のための交差点…まさにThe交差点という感じがエモいです」

-地図愛が止まりません。

「授業中に地図帳眺めておもしろい地名を探していた学生の頃と変わっていないかもしれません。『地図で見ているとこんな発見があるのか』という皆さんと同じ気持ちでいたいです。弊社の業務はBtoBが中心ですが、SNSを通してエンドユーザーの皆さんと地図でつながることを大切にしたいです」

-行ったこともない土地の地名と地図に好奇心をかきたてられました。

「それが狙いです!逆に行ったことがある場所が出てくると、懐かしい!って気持ちになりますよね。未知の経験と過去の体験を一枚の地図で味わえる…他にはなかなかないと思います。新型コロナ禍で、移動することがままならない事態ですが、地図を見ていろんな場所に思いを巡らせてほしいです」

  ◇  ◇

熱い思いを語ってくれた担当者の胸中を代弁するようなツイートを紹介したい。2020年8月31日、都民に広く愛された遊園地である「としまえん」が閉園した日、上司に掛け合って、「としまえん」の地図とともに、次のように投稿した。

「わたしたちは地図を新しく更新するのが仕事、いずれ としまえんのない地図を作ることになるでしょう... これまでの感謝をこめて、現在のとしまえんの地図をのせておきます。\94年間 夢と笑顔をありがとう/」

これに対して、「街は変わっても変わらない思い出があるよ」「涙が止まらないです」などのリプライとともに、1・5万のいいねが集まった。

(まいどなニュース/神戸新聞・竹内 章)

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