ごはんはあるだけ食べてしまうし、おもちゃは獲物と思ってしまうし…保護した2匹は生粋の野良猫だった

埼玉県に住む村上さんは、のんびり駐車場で日向ぼっこをしている猫に出会った。まったく悲壮感がなく、「この子は大丈夫、外で生きていける」とその場を離れた。しかし、半年後、2匹の猫がうずくまっているのを発見。1匹は、駐車場で見た猫だった。

■外でも生きていける猫、生きていけない猫

埼玉県に住む村上さんが、初めてころくんに出会ったのは2011年11月23日。近所の駐車場で日向ぼっこをしていて、まだ幼い顔で村上さんを見つめていた。1匹でいたが、悲痛な感じはしなかったので、外で上手に暮らしていける子だと思ったそうだ。

それから半年後の2012年6月5日。村上さんは、自宅前の公園でうずくまっている2匹の猫を見つけた。兄弟なのか、2匹で寄り添うようにしていたが、1匹は半年前に見た猫によく似ていた。もう1匹は悲壮感のある目で何かを訴えかけているように見えた。

「この子は外の世界では生きていけない!」…そう直感した村上さんは、急いで折り畳みケージを組み立て、ごはんを入れて呼び寄せてみた。「おうちに来る?うちの子になるならおいで」と言うと、2匹ともすんなりケージの中に入った。そんな簡単には捕まらないと思っていたので、ちょっと意外だったという。

■助けを求めてきた猫は必ず助ける

2匹を保護する少し前、村上さんは、傷ついた猫に手を差し伸べることができなかったことがあり、ずっと後悔していた。

「その時、自分の中で猫の神様と約束をしたのです。今後、私に助けを求めてきた猫がいたら必ず助けると。なので、それ以来、外で猫に会ったときは必ず声をかけています」

「元気?ごはん食べられている?痛いところはない?」と尋ねても、何も言わずに立ち去る子、興味なさげにしている子もいる。そんな子は、きっと上手に生きられる子なんだ、「元気でね」と見送るそうだ。何かを訴えてくる場合は、「うちに来る気がある?」と聞き、納得した上で保護をしている。

2匹の猫を保護した時の仮名は、ころくんは幼猫特有のコロコロとした印象から「コロスケ」、にじくんは「にゃん次郎」と呼んでいた。しかし、村上家の猫は、ひらがな2文字の名前と決めていたため、コロスケ→ころくん、にゃんじろう→にじくんとなった。

■2匹保護したら5匹飼うことに

ころくんはお兄ちゃんっぽく、外でも生きていけそうな自由な印象を受けた。しかし、にじくんは、どことなく悲しい目をしていて、怯えた表情をして、ころくんの後ろに隠れていた。村上さんは、ころくんだけなら多分保護しなかったという。

「にじがいたから一緒に来てもらったんです。でも、実はころも繊細な子でした。お兄ちゃんとして強がっていただけなのかもしれません」

2匹は生粋の野良という感じで、ずっと外でコンビニのゴミや公園に来た人から食べ物をもらっていたようだった。ごはんはあるだけ食べてしまうし、吐き戻したものも口にした。おもちゃで遊んだことはないらしく、じゃらしに怯える。獣毛のおもちゃなどは獲物として捕らえ、そのまま食べてしまう勢いだった。にじくんは村上さん以外の人間を怖がり、家人も寄せ付けず、幻の猫と呼ばれていた。

ころくんは自由な性格で探検好き。にじくんはビビリではあるものの、猫なら誰とでも仲良くなれる子だ。他の猫たちにくっついて寝ることもある甘えん坊な性格だという。人間は怖いというトラウマがあるようで、他の人には触らせなかったが、村上さんだけには懐いていて、いつも他の子と膝の上を取り合った。

2匹を保護した時、村上さんは、5匹も世話ができるのか?と不安でいっぱいだった。里親を探した方がいいのではないか?とかなり迷ったが、自分が保護した子は、自分で幸せにする!と決めた。

「実際、世話する時間も増え、ごはん代も増えました。医療費もかかるし、大変といえば大変ですが、それ以上に幸せもたくさん増えました!」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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