釣り中の和菓子店主に「カワウソさん」がお告げ? 看板商品「カワウソもなか」誕生秘話が日本昔話みたい

 四国で81年続く和菓子店「梶原製菓」(愛媛県南宇和郡)がツイッターに投稿した写真がじわじわと注目を集めています。そこに写るのは何十頭と密集するニホンカワウソの「もなか」。同店の看板菓子「南宇和観光銘菓 カワウソもなか」です。同社公式ツイッター「中の人」に話を聞くと、日本昔話のような誕生秘話がありました。

■看板商品考案中、水音がして…

 --もなかが並ぶ様子が圧巻です。毎日こんなにたくさん製作を?

 「カワウソもなかは皆さんの『愛でたい』と言う気持ちがある限り無限に生まれてるのです。あまりに多いと店主がちょっと腱鞘(けんしょう)炎気味になります。手絞りなので」

 --いつ頃、誕生したんですか?

 「40年以上前、2代目店主がニホンカワウソと出会ったことから生まれたお菓子です」

 店の看板銘菓を作りたいと頭を悩ませていた当時の店主は、気分転換のため趣味の釣りに出かけます。近くでバシャバシャッと水音が。見るとそこには、水の中で魚を捕るニホンカワウソの姿が。店主はひらめきました。「そうだ、カワウソだ」。まるで日本昔話によくあるお告げのような展開です。カワウソの全身をかたどったもなかは、今では名物となり、魚をくわえたカワウソのイラストは同店看板にも描かれています。

 「その頃はひっそりといたんですね、ニホンカワウソ。今は会えないので梶原製菓のカワウソもなかにたくさん会って欲しいです」(中の人)

■今は絶滅、ニホンカワウソ

 ニホンカワウソは1964年5月10日、同店の所在地でもある愛媛県の「県の獣」に制定されました。

 環境省自然環境局生物多様性センター「いきものログ」によると、本州以南個体群のニホンカワウソは、本州、四国、九州の他、壱岐や対馬でも記録があり、1964年に国の天然記念物、1965年には特別天然記念物に指定されています。毛皮目当ての乱獲や河川開発による生活環境の悪化、水質汚染などにより激減したといわれています。

 2012年8月28日には、環境省版レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に絶滅と公表されました。

 国内の動物施設や動物カフェ、個人のペットとして人気のコツメカワウソも絶滅危惧種です。ワシントン条約に基づき、2019年11月26日から国際商業取引が原則禁止となりました。

■“ある界隈”で人気に

 --「カワウソもなか」はどんな方に人気ですか?

 「お土産にひっそり売っているお菓子でしたが、ツイッターアカウントを開設したことにより、カワウソ大好きな皆様の間で瞬く間に人気になりました。広げてくださった皆様にほんとに感謝です。今は、カワウソ大好き歌手界隈や、カワウソ似有名人のファン界隈など、いろんなカワウソつながりの方に人気です」

 中の人によると、歌手、韓国のアイドル、プロ野球選手、フィギュアスケート選手、プロレス選手など、有名人の中に「カワウソ顔」の人気者が多数いるらしく、ファンらがこぞって購入するのだとか。

 --遠方からの購入方法は?

 「県内では数点取り扱って頂いているお店があるのですが、それ以外は梶原製菓のサイトからお取り寄せしていただけます」

 「南宇和観光銘菓 カワウソもなか」8個入り1300円、10個入り1800円、12個入り1900円(いずれも税込み)

(まいどなニュース・金井 かおる)

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