接客上手な4匹の猫が人気の美容院「うちの福招きねこ~西日本編」vol.19

  滋賀県守山市にある「Hair Art Saran」は、猫がのぼって遊べるキャットウォークが店内に設けられた、まるで猫カフェのような美容院だ。オーナーの辻百合子さんが飼っているのは、茶トラのロイ、黒白のソル兄弟(ともに3歳、オス)、1歳のオッドアイの白猫兄妹・カブ(オス)、アブ(メス)の計4匹。髪を染めたりパーマをあてたりしているとき、お客さんの膝の上に乗ることもあり、メロメロになる人も。4匹との出会いや接客ぶりなどについて、辻さんに話を聞いた。

  辻さん 最初にやってきたのはロイとソル。3年前、知人が保護していた4匹の子猫の中の2匹を譲り受けました。私はシングルマザーで、長女は仕事の都合で先に家を出て、当時10代だった長男と2人暮らしだったため、なにかとストレスが多くて…。お客さんから「猫は癒されるでー」と言われたのがきっかけで、初めて猫を飼うことにしました。出会ったとき、2匹はまだ生後1カ月ほど。ソックスを履いたような脚を持つ黒白柄のソルに一目惚れでした。「兄弟で飼った方がさびしがらないからいい」と勧められ、人なつこい茶トラのロイも一緒に引き取りました。

  2匹は成長するにつれて、店内の棚の上にのぼったり、走り回ったりして、まるで運動会。あまりに元気なので、どうせなら猫たちが喜んで過ごせるような空間をDIYで作れないかと思ったんです。相談すると、同級生が木材など材料を提供してくれて、お世話になっている知人が取り付け作業を手伝ってくれました。そのおかげで店内の壁に、立派なキャットウォークや棚などが完成しました。

  それらができると、次第に2匹だけではさびしいと思うようになりました。そこで昨年6月ころ、ネットで保護猫を調べていたら、枚方(大阪府)にある保護猫団体のページに1歳の三毛の母猫と生後2カ月弱の4匹の子猫(3匹は真っ白、1匹は三毛)が載っていて、その中の1匹に耳のケガが痛々しい白い子猫の姿が目にとまりました。それがアブです。

  その子の紹介動画を見ると、ごはんのとき、ケガした耳をピクピクさせて「アウ、アウ、アウ」ってしゃべりながら食べてたんですよ。その姿があまりにけなげで。それと、その子猫たちは4月10日生まれだそうで、私の父親と同じ誕生日だったので、理由はありませんが、ああ、もうこの子や!とピンときました(笑)。

  でも、いざその団体の譲渡会に行くと、アブを含む3匹の白い子たちは大人気でした。というのも3匹とも、左右の目の色が違うオッドアイだったからです。オッドアイの子は幸運をもたらすと言われますし、とても珍しいので、譲渡を希望される方も多く、競争率が高かったんです。

  その譲渡会では、「1日に何時間、家をあけているか?」と質問され、私は店で仕事しているし、両親とも同居していて、誰かがいつもいるので「0時間」と答えました。それと、子猫たちのうち2匹を同時に引き取りたい、とも申し上げていました。もしかしたらそれらがよかったのかもしれません。結局、白い子猫3匹のうちの2匹を私が引き取ることになったんです。それがカブとアブです。

 もう15年ほど前のこと。近所に犬猫をいっぱい飼っている家があり、あるとき、その家の前を通ったら、真っ白な子猫がケージの中にいたんです。目は神秘的なオッドアイ。その子を見たとき、「世の中にはこんなにも可愛い、天使のような猫がいるんや」と思ったのを覚えています。その印象が無意識のなかで鮮烈だったんでしょうか。何年も経って、まさか私がオッドアイの白猫を2匹も飼うことになるとは。

  カブは右目が青色で左目が黄色。アブは右目が黄色で左目が青色。2匹は目の色がちょうど左右逆なんですよ。さらに、アブの左目は希少なダイクロイックアイ(1つの目の中に2つの色が存在している目)だということも、譲り受けた後にわかりました。

  髪を染めたりパーマをあてたりしている間、猫たちがお客さんの膝の上に乗って丸くなることはよくあります。「猫をさわるのは初めて」というお客さんもこられるんですが、猫が膝に乗ってくると「えっ、どうしたらええん?」と最初はあたふた。でも、帰るころになると「めっちゃかわいいなあ。別れるのが名残惜しくなってきた。また絶対会いに来るね」というふうに変わります。いつも散髪にくる高校生の男の子なんかは、猫たちに会いたいがために、散髪の周期が短くなったり(笑)。

  緊急事態宣言が出ていたとき、お客さんはほぼゼロで収入もありませんでしたが、4匹の可愛い寝姿をぼーっと眺めていたら、この子らはコロナのことなんか何も知らんと生きてる、この子らが平和に生きてるんやったらそれでいいわって(笑)。私、猫に救われているなあとつくづく感じました。この子たちと店で一緒に過ごすなにげない日常こそが、オッドアイの子たちがもたらしてくれた一番の幸運なのかもしれません。

【店名】「Hair Art Saran」

【住所】滋賀県守山市播磨田町166-14

【電話番号】 077-582-8646

【SNS】インスタは@roi.sol_nekoneko、ツイッターは@oddeye2abukabu

(まいどなニュース特約・西松 宏)

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