公園でベトベトに汚れていたブサカワ猫が、里親の女性に縁結び→いま幸せに一緒に暮らす

北海道の二見公園でTNR活動のため捕獲機をしかけると大きなトラ柄の猫がかかっていた。動物病院で診てもらうと、去勢済みのオスだった。リリースしたら、ちらっと一瞥しただけで公園の奥に行ってしまった。1カ月後、公園で変わり果てた猫の姿があった。

■粘着質のものにまみれてベトベトに

2014年10月末、北海道で保護活動をしていた定ニャンの会のボランティアさんは、二見公園付近でTNRをするため捕獲機をしかけた。捕獲機のひとつには大きな猫が入っていた。元飼い猫っぽいので「もときち」と名付けた。動物病院に連れていくと、オスだが去勢手術をしてあるという。ボランティアさんは、もときちくんをリリースするかどうするか迷ったが、リリースすることにした。キャリーバッグのフタを開けると、もときちくんはちらっと一瞥しただけで公園の奥へと消えていった。

11月、ボランティアさんはもときちくんと再び会うことになる。もときちくんのことを気にして公園に来たボランティアさんが何やら粘着質ものにまみれているもときちくんを発見したのだ。右半身と顔と頭がべとべとになっていた。無臭だがボンドや硬い水あめのようなものだった。虐待かもしれないと翌日警察に連れていくと、警察官は「何か油性のものですね」と言った。お湯のタンク室内か車内にもぐりこんだ可能性もあった。

■ブサ猫だったが、なぜか気になって…

もときちくんを動物病院に連れていくと、「油性のものは油性のサラダオイルなどで取り除ける。取れない部分は毛をカットします」と言われた。後頭部の毛をカットされ、健康診断を受けたもときちくん。お腹にいた条虫の駆除が必要だったが、リリースはしないで里親を募集することになった。

2015年2月下旬、北海道に住む山口さんは、猫と暮らそうと思っていた。寂しくて、家族が欲しかったのだという。

「譲渡サイトで検索したらもときちが出てきたんです。ムスッとした表情のブサ猫でした。エイズキャリアでしたが、一度会ってみようと思ったんです」

定ニャンの会にメッセージを送ると、「将来、結婚しても手放さないと約束できるか」とか「本当にペット可の物件に住んでいるのか」とか「エイズキャリアの知識はあるか」など、いろいろ尋ねられた。

「話しているうちに猫に対する愛情が芽生えてきました。エイズのことはネットで勉強しました。ボランティアさんが、猫のことを本当に大事にしているのが伝わってきました」

■猫が縁結びでパートナーと出会う

2015年3月11日、もときちくんをボランティアさんが家まで連れてきてくれた。ボランティアさんが3人もいたので、一人暮らしの山口さんはドキドキしたという。もときちくんは、最初はケージに入ったまま出てこなかったが、じょじょにケージの中と外を自由に行き来するようになった。しかし、やはり初日なので緊張しているようだった。

名前は、とらきちくんにした。

2日目、山口さんが仕事から帰ると洗濯機の上にいた。キャットフードも食べてあった。

「毛があちらこちらに落ちていたので、私がいないうちに探検していたようです。日に日に緊張が解けていき、表情が和らぐのを感じました」

猫じゃらしでもよく遊んで、飼い猫だったことをうかがわせた。

2、3週間経つと、スリスリしたり、ゴロンと足元に横たわったりして甘えるように。布団にも入るようになり、朝方になると、山口さんに起きてほしいのか首や手を甘噛みするようになった。

2015年4月、山口さんがFacebookに「猫を飼いました」と投稿すると、「猫に会いたいなあ」とコメントする男性がいた。もとから知っている人だった。彼のほうが猫の扱いに慣れていたこともあり、とらきちくんはまたたく間に懐いた。山口さんは、とらきちくんとその男性と一緒に、いま幸せに暮らしている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス