保護した子猫、獣医師から「長く生きられないかも」の宣告も 献身的な介抱で一命をとりとめる

大阪府に住む稲田さんは、ウォーキングをしている時に母猫と3匹の子猫を見かけた。明らかに母猫は衰弱していて、いまにも死にそうな感じだった。ある時、母猫と2匹の子猫が消え、1匹の子猫だけが残っていた。稲田さんは、子猫のことを放っておけなかった。

■衰弱した母猫と猫風邪をひいた子猫

大阪府に住む稲田さんは、仕事から帰ると午後6時から7時くらいまで、毎日同じコースを散歩するのを日課にしていた。ある日、いつものコースを変えて歩いていると、民家の近くで親子の猫をみつけた。母猫はよろめきながら歩いていて、弱っているのが見て取れた。ウォーキングで通りかかった女性も「ああ、あの子、絶対あかんわ」と言った。子猫は茶トラが2匹、キジが1匹いた。

民家の敷地内にいることもあれば外にいることもあり、飼い猫なのかどうかよく分からなかったが、稲田さんは気になったので、キャットフードを持って行った。

「無断でフードを与えたことをとがめられても嫌なので、すぐに立ち去るようにしていたんです。でも、3週間経っても子猫たちが成長しなかったんです。そうこうしているうちに母猫と2匹の茶トラ猫がいなくなりました」

■生きられないかもしれない

残されたのはキジ猫の子猫。猫風邪をひいていて目はぐしゅぐしゅ、鼻水は固まってこびりついていた。2014年7月1日、「この子だけでは生きていけない」、そう思った稲田さんは、夫に「明日、あの子がいたら連れてくる。病気を持っていたら一生他の先住猫と隔離しないといけないかもしれないけど連れてくるから」と宣言した。

翌日、稲田さんは、タオルを持って子猫のところに向かった。遠くからは子猫の姿が見えなかったが、近寄ると民家のラティスの上にいた。手を伸ばすと届いたので、そのまま抱き上げてタオルにくるんで保護した。

動物病院に連れて行くと、獣医師は子猫を見た途端、「この子は長く生きられないかもしれません」と言った。猫風邪をひいていて、皮膚にはシラミの卵がびっしりついていた。「鼻が詰まっているので、キャットフードをあげても匂いが分からず、食べられなかっただろう」とも言われた。

■食べられるようになったら元気に

名前は紅音(くおん)くんにした。

自力ではキャットフードを食べられなかったので、強制給餌をした。介抱したら一週間くらいで食べられるようになり、そこからはぐんぐん回復したそうだ。

先住猫の梨音(りおん)くんと梨梨依(りりい)ちゃんは、気配で紅音くんがいることに気づき、隔離した部屋の外からフェンス越しに興味津々でのぞいていた。

元気になって先住猫と合流した紅音くん。人も猫も大好きなので、すぐに2匹を遊びに誘った。キャットウォークの上を走り回るのも大好きで、何往復もするという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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