学校休校が原因で児童虐待が本当に増えているのか? 子育て支援団体に聞く

■児童虐待は増えているか

 新型コロナウイルスの拡散防止で学校が休みになり、家庭での児童虐待が増えているという。本当だろうか。

 大阪府にある民間の子育て支援団体を中心に、35団体で運営する「ゼロ会議」(大阪市中央区)代表、浜辺拡臣さんは「虐待の件数が増えているというより、むしろ今まであった虐待がより深刻化している」という。

 家族の時間が増えると、仲の良い家族はますます仲良くなり、不安定な家庭はますます不安定になる傾向があるという浜辺さん。不安定になる原因は子どもの預け先がなくなるのをはじめ、収入の激減や勤め先の休業などで湧き上がる、将来への不安だ。

 また、いつまで休校なのか。同じ休校でも、春休みや夏休みには明確な終わりがある。それが今回と大きく違う点だ。ゴールが見えないことが不安に直結する。「人はゴールがあればそこへ向かって頑張れるのですが、見えないままでは、いったいどうなるかと不安で心がいっぱいいっぱいなままです」。

 このような不安は心の余裕をなくし、それが続けば、本来の自分を見失う。不安で”いっぱいっぱい”になった心の余裕のなさが、虐待につながる。

■どんな親でも虐待する可能性がある

 児童虐待の原因で注目されるのは、貧困や、子どもの頃に自身も虐待を受けていた「虐待の連鎖」などといわれるが、現場を見ている浜辺さんは必ずしもそうではないという。「やはり親のいっぱいいっぱいな心が原因です。つまり、児童虐待は特別なことではない。どんな親でも、子どもを虐待する可能性があります」。

 さらに子どもへの愛と責任感の強さが、虐待を助長させるケースがあるという。「昔は近所のおじさん、おばさんなどが声をかけ合って、みんなで子どもを育てていく環境がありました。だから親も一人で責任を背負い込むことなく、心に余裕をもてた。もし行き過ぎた行為があっても、周りが止めるなりやんわり注意なりができました」。

 しかし今は、虐待の家庭は孤立する傾向が強く、外から見えにくい。家にこもって悩む親のために、浜辺さんは全国の自治体の子育て支援制度をまとめたサイト『イクハク(育児助成金白書)』の運営も行っている。しかし虐待はなくならない。そこで着目したのが「近しい親戚や友人に、自身の虐待行為を告白する人が多い」という事実だ。

 「告白や相談を受けた人が、プチ相談員として、虐待した親と私たち支援団体との橋渡し役になれば。もし大阪府民全員がプチ相談員になればどうでしょうか。いち早く不安や悩みをキャッチできる大きな虐待防止策となり、一人でも多くの子どもを救えるかもしれません」。それが『ゼロ会議』誕生のきっかけになった。

 何とかしようとひとりで責任を背負い込む親たちに、浜辺さんは「みんなで子育てましょう。それがみんなの幸せにつながります」と語りかけている。

(まいどなニュース特約・國松 珠実)

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