誰かに監視されてるみたい?高輪GW駅のAI決済コンビニを体験…駅ナカや社内店舗から「無人化」の流れへ

 JR山手線・京浜東北線の新駅として3月14日に開業した高輪ゲートウェイ駅で、23日に開店した無人AI決済コンビニエンスストア「TOUCH TO GO(タッチ トゥ ゴー)」が注目されている。記者が実際に客として同店で購入した体験を踏まえ、オープン前に取材した流通アナリストの渡辺広明氏に今後の展開について見解をうかがった。

 記者が同店を訪れたのは開店週の平日午後3時過ぎ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響も伴って、ホームに人は少なかったが、その上部の構内にある店舗前には既に10人以上が並んでいた。一度に店内に入れるのは7人までとされ、店内を混雑させないために入場制限している。自分が列の先頭近くになってから振り返ると行列は20人以上に増えていた。

入口の案内モニターでは「(1)入る(2)取る(3)出る」の3要素が繰り返し表示されていた。スタッフが店内の様子をうかがい、退出した客を確認すると、ゲート前で待つ行列の先頭に声掛けする。記者は10分ほど待って入店(1)。店内は一方通行で、黄色い矢印に沿って進みながら、棚から購入商品を取る(2)。「STOP」や「CHECK」の表示に従い、レジの前に立つと、正面のタッチパネルに、購入するもりの商品名と価格が表示された。商品バーコード読み取りの手間をかけなくても、正確に認識されていた。

 不思議な感覚だった。どこかで誰かに監視されているような…。その点をスタッフに尋ねると、天井にある複数のセンサーが客の手にした商品を感知しているのだという。何を手に取ったのか、AI(人工知能)が判断しているわけだ。

 最後はレジのタッチパネルに表示された購入内容を確認し、SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーを端末にかざして決済が完了すると、ゲートが開いて外に出る(3)。現金の取り扱いはできない。営業時間は午前6時から深夜0時まで。今後は、クレジットカードなどにも順次対応していく予定だという。

 来店客にバーコード読み取り決済を委ねるコンビニは増えているが、「TOUCH TO GO」ではAI決済が完全化した。ただ、完全に店内が無人化しているわけではない。不慣れな客の問い合わせに応じたり、トラブルなどに対応するスタッフが常駐している。

 以上の体験を踏まえ、渡辺氏に見解を聞いた。

 -今後、AI決済店舗は増えていくか。

 「日本国内で人手不足の進行が避けられない中、省人化を目的とした店舗運営は進んでいくでしょう。段階的にキャッシュレス比率のアップ、セルフレジの定着と進み、AI決済の店が増えていくでしょう。ただし、AI決済は創成期で、スタンダードを確立すべく、まだまだお客対応の試行錯誤が繰り返されて、お客側も慣れていく時期です」

 -入場制限のための行列で入店までに時間を要したが、解消されるか。

 「当初の赤羽の実証実験(2018年)では、店内に3名しか店内に入れなかったのが7名から10名まで可能になっています。今後、人数制限(などの課題点)が益々進化(改善)することと、AI決済が一般的になれば並ぶということはなくなってくるのではないでしょうか」

 -現時点では常駐スタッフが必要だが、将来的に「無人化」と「省人化」の可能性は。

 「商品の品出しが必要なため、オープンしている間の完全無人化は難しいですが、遠隔対応の接客進化によりほぼ無人化は実現していくでしょう。通常のコンビニが2~3人の運営のため、省人化と人件費の削減は進んでいくでしょう。説明のスタッフは、お客様が利用に慣れるまでの限定的な対応となるでしょう」

 -コンビニが完全に無人化する時代は来るか。

 「生体認証が進化し、商品の品出し以外の無人化は、閉鎖商圏である会社内売店などの対応を皮切りに、効率的な買い物が必要な駅ナカの混雑が予想される店舗を中心に、まずは広がりをみせていくでしょう」

 人手不足が深刻化するコンビニ業界において、無人AI決済店舗はその打開策につながるか。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・北村 泰介)

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