リーチ・マイケルが伝授する言語習得のコツ 外国語をマスターして世界を「ONE TEAM」に

 間もなく訪れる2020年から、小学校での英語教育が本格化されるという。とはいえ、これまでに英語の授業やテストを数え切れないないくらい受けてきた日本人の多くは、英語を習得できていない。そんな現実を“リーチ流”が救ってくれるかもしれない!?ラグビーW杯で8強入りした日本代表のリーチ・マイケル主将(31)=東芝=はこのほど、大阪・豊中市の履正社高校で行われた「日本スポーツと英語の新時代」と題するトークイベントにゲスト出演。自身の体験をもとに言語習得に必要なこと、それを踏まえてのコミュニケーション能力の重要性を説いた。

 系列の履正社医療スポーツ専門学校(大阪市淀川区)は来春から国内初となる「スポーツ外国語学科」を新設し、その学科長にラグビー日本代表通訳の佐藤秀典氏(38)が就任する。その会見の盛り上げ役として、ひと肌脱いだのが親交の深いリーチ・マイケルだ。

 高校1年でニュージーランドから札幌山の手高に留学するため、来日したリーチ。今でこそ流ちょうな言葉と類いまれなリーダーシップを発揮しているが、決してスムーズに日本社会に溶け込んだわけではなかった。

 「ニュージーランドで少し勉強はしていましたが、最初は全く通じなかった。教科書はです、ます。でも、日本の友だちは”行きます”じゃなく”行こうぜ”って言う。意味が分からなかった」

 言語をマスターするコツとしては2点挙げた。「まずは単語。単語をたくさん覚えることが大切です。そうすれば何を言ってるか少し分かるし、何とかコミュニケーションを取れるようになる。それと、その言葉をしゃべる人と一緒にいて理解を深めることが大事」

 リーチの場合、実際に日本語を覚えることでラグビーも上達していったと言う。

 「1年で聞き取りができるようになって、1年半ほどで何とかしゃべれるようになった。言葉を学ぶには環境が大切だと思う。言葉や文化は肌で感じるのが一番」

 もちろん、微妙なニュアンスを伝えるのは難しい。ラグビー日本代表通訳としてエディー・ジョーンズ、ジェイミー・ジョセフ両ヘッドコーチにつかえた佐藤氏も『よろしく』とか『お疲れ』という言葉をTPOに合わせて訳していたという。リーチもこれに同調した。

 「根性という言葉もガッツとは少し違う。でも、個人的に根性という言葉は好き。神に誓うな、己に誓えという言葉も大学のとき、学んだ」

 一方で2人の共通の懸念事項はやはり、日本の社会に依然として英語が浸透しておらず、それがマイナスになっていることだ。リーチが言う。

 「日本は英語が通じない国のひとつ。ラグビーにおいても技術や練習方法などの情報は言葉の壁があって、遅れていると思う。しかし、日本のトレーナーの技術は優れているし、何より選手思い。英語が話せないと、世界で勝負できないので、これから若い人が英語を身につけ、海外に出て行けばスポーツ界全体の環境が変わる。そう考えるとワクワクします」

 学科長の佐藤氏は「ワンチーム」の指導方針の下、カリキュラムの中で実際にBリーグやトップリーグなどプロスポーツの現場に出て、実践的な場面で英語力を身につけていく考えだ。

 「通訳が不足しているのは事実ですが、これからはどんな職業についても当たり前に英語が話せるようにならならないといけない。英語が話せることがアドバンテージになるのではなく、英語が話せないことがディスアドバンテージになる時代になってくる」

 履正社医療スポーツ専門学校は、これまで数多くの人材を輩出してきたが今回のようなスポーツに特化した語学を学べる高等教育機関は日本初となる。これを受け、リーチも「機会があれば、トレーナーの海外派遣の橋渡しをしたいし、学生に自分の経験を伝えたい」と全面サポートを約束した。将来、リーチ・マイケルの“白熱教室”が実現するかもしれない。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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