天使のようなエゾモモンガの動画が話題 極寒の森の中、無心に命をつなぐ様子が世界を癒やす

 白くフワフワの毛皮に、まん丸くて大きな瞳。小さな手に持った葉を無心に食べ、また次の葉を食べ続ける…。北海道にだけ住む野生のエゾモモンガを捉えた、そんな愛くるしい動画に癒される人が続出しています。その魅力は海を越え、海外でも共感を呼ぶほど。雪に覆われた極寒の森の中を、姿を求めて追い続けるカメラマンにお話を聞きました。

 カメラマンは進啓士郎(@Pop Shiretoko360)さん。今月中旬にツイッターで投稿した動画は123万回以上再生され、「かわいいが過ぎる」「天使?」と、ネット民たちを身もだえさせました。

 10代の頃は飛行機を撮るのに夢中なカメラ小僧だった進さんですが、その後はカメラから離れ、国内外の色々な場所を経て10年前に知床のホテルで働くように。そして「あまりの大自然に圧倒されて、またカメラを手にするようになった」といいます。

 エゾモモンガに出会ったのは、撮影を始めて2、3シーズン後の冬。「大きな目に丸い体。その圧倒的な可愛さに魅了され、姿を追ってがむしゃらに森を歩いて探しました」と振り返ります。

 その後、本や友人に聞きながら少しずつ生態を学び、冬になると毎年、スノーシューを履いて一日中、ゆっくりのんびり森を歩き回っては、エサを食べた痕やフンを手掛かりに巣穴を探します。「体力的には一番大変ですが、楽しいです」と進さん。「そうやって自分が見つけた巣穴からエゾモモンガが出てきて、撮影できたときは本当に、一番うれしいです」と語ります。

 エゾモモンガは、ユーラシア大陸北部に広く分布するリス科のタイリクモモンガの亜種。成獣になっても体長は平均15cmほどと小柄で、ほぼ完全な夜行性であり滑空距離は数10mから時には100mほどにも及ぶことから、発見や追跡が非常に難しいといわれます。進さんは「そんな愛らしく小さな身体ながらも冬眠することはなく、天敵から身を守りながら厳しい北海道の冬を生き抜く野生動物としての力強さもまた、魅力」とメロメロです。

 写真はSNSで発信し、遠く海外からも反響が。今年10月には写真集「世界一かわいいエゾモモンガ」も発売し、表紙の写真はこれまでのベストショットといいます。「まずは、そのかわいさに打ちのめされてください。そして、こんなかわいい小さな動物が、厳しい自然環境を生き抜いている、野生動物の強さや逞しさを知って欲しいです」と進さん。ただ、そんな北海道でも今年はまだまともに雪も降っておらず、スノーシューを履くこともなく、冬らしさを感じない日が続いているそうです。

 にしても。まるまるもふもふのその瞳は、どこか「お疲れ様。大変だったね」と言っているようにも聞こえてくるような。いろいろあったけれど、もうすぐ今年も終わりですね。皆さん、どうか、来年も良いお年を! そして、どうか、このかわいい天使の暮らしがいつまでも守られますように!

 写真集はhttp://pie.co.jp/book/i/5267/から。

(まいどなニュース・広畑 千春)

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