つり革に約350体のハニワがお出迎え!近鉄の「こふん列車」で世界遺産の古墳群へGO!

 近鉄で運行中のラッピング列車「こふん列車」が人気を集めています。外装や車窓、車内の床やつり革などに古墳やハニワのイメージをちりばめた可愛いラッピング列車です。くわえて、車内に数か所「隠れハニワ」を設置するなど遊びごころにとんだ仕掛けが魅力的です。いつ、どこを走るかはシークレットで、それだけに遭遇した人は喜びもひとしおだといいます。SNSでは「なんだか可愛い」「癒やされる」というキャラクターの愛らしさについてや、「乗れたらいいな」「これがやってきたらラッキー」などの偶然乗車できた嬉しさについてまで多くのコメントが寄せられています。いったいどんな列車なのでしょうか、筆者も実際に乗りに行ってみました。

 というわけで、大阪阿部野橋駅に到着し、数分間車内点検などで停車中の「こふん列車」に対面しました。3両1編成(6020系車両)の列車の外装は緑を基調としたテキスタル風の古墳やハニワのデザインシートでラッピングされ、それぞれの車窓には頬杖をつくハニワ、本を読むハニワ、手を振るハニワがお出迎え。それぞれ違った魅力があり、停車中も多くの人が楽しそうに写真を撮っていました。

 車内に入ると、つり革上部に一体、一体そなえ付けられたハニワがずらり。つり革は約350本 (優先座席のつり革を除く) あるので、なんと全部で約350体のハニワがここにいることに!これがまた可愛らしい。SNSでもつり革ハニワが自分も欲しい、というコメントがありました。ちょうど成人女性の手のひらサイズほどの小ぶりなサイズ感と、無言の叫びをあげているような可愛さも相まって何ともいえない魅力があります。ボディも手のひらの熱が伝わるなめらかな樹脂製。確かにお仕事で疲れて帰ってきて、家の玄関にこの子が待っていてくれたなら…などと「マイ・ハニワ」を求める人の気持ちも分かるような…。

 そもそも「こふん列車」は、大阪府の南東部、羽曳野市から藤井寺市にかけて広がる古市古墳群が、堺市にある百舌鳥(もず)古墳群とともに2019年7月「百舌鳥・古市古墳群」として大阪府初の世界文化遺産に登録されたことを記念して運行が決定しました。現在、近鉄は古墳群が集中する羽曳野・藤井寺市とともに同エリアを盛り立てる近鉄エリアキャンペーンを実施中。

 同列車は「応神天皇陵古墳」など、古墳群が多く集まる「古市駅」や「藤井寺駅」などを走行する南大阪線をはじめ、吉野線・長野線・御所線などを7月28日より運行中です。キャンペーンは11月30日で終了予定。期間中に遭遇できなければ、「こふん列車」に乗ることは叶わないのでしょうか。近鉄の担当者二人に話を聞きました。

-「こふん列車」が走ってひと月以上経ちましたね

企画統括部営業企画部(観光開発)主査の岩本恵利佳さん「おかげさまで、好評をいただいております。車内数か所にある『隠れハニワ』を見つけた、まさかここにあったとはやられた!という方も」

-つり革ハニワが人気だとか

岩本さん「キャンペーン終了後は個人でも買えますか、などとお問い合わせをいただくこともあります。でも残念ながら販売は予定しておりません」

広報部の谷口英志さん「月曜朝の通勤列車で遭遇し、可愛いハニワに会えて一日ハッピーでした、というお声も」

「また、比較的空いている車内だと揺れに合わせて、つり革のハニワが一斉に左右に振り子状態になる様子が、無言で歌を歌っているようで思わずじっと見てしまう…という方もおられるようです」

  ◇  ◇

-「こふん列車」はいつまで走るのでしょうか

岩本さん「キャンペーンは11月30日で終了しますが、同列車は2022年の2月くらいまでは運行予定です。また『確実に乗りたい』というお声にお応えしてこの列車を使ったツアーも実施しました。今後も検討していきます」

 近鉄といえば、三重や奈良といった全国的にも有名な観光地を走ることで有名。しかしそれだけでない、知られざる魅力のある土地を毎年一か所選び、行政などと協力して地域ぐるみでキャンペーンを行ってきました。同キャンペーンは今年で7回目です。世界遺産に登録されたとはいえ、羽曳野市・藤井寺市の観光地としての知名度は高くないと感じる、まずは両市を知ってもらうことが大事、と岩本さん。「こふん列車」がそのきっかけになれば、とのねらいから運行中です、とも。

-認知度が上がった、との手応えは

谷口さん「今まであまり鉄道に興味がない層にもアピールできたと感じます。東京に就職した娘もこちらにいる時は全く電車にも関心がなかったのですが、先日LINEで、ネットで見つけた同列車の画像を送ってきてくれて。『乗ってみたい』と…そういう反応がうれしいですね」

岩本さん「この列車に乗ってとても楽しかった、古市古墳群のある街に行きたくなった、とのお声をいただくことも。私たちの仕事は、お客様をある場所から別の場所までお運びすること。でもただ運ぶだけではなく、その目的地にも興味を持って、愛していただきたいと願っています。今回の『こふん列車』も、ぜひ列車にゆかりのある土地への訪問も併せて楽しんで貰いたいですね」

(まいどなニュース特約・山本 明)

▼同キャンペーンHP

https://www.kintetsu.co.jp/senden/kofunmachi/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=kintetsu_ac_kofunmachi

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