安楽死寸前で保護されたミニブタ・キャサリン。“家庭豚”として迎えてくれる里親さん募集中!

 神戸市兵庫区にある『保護犬ふれあいカフェGUARDIAN』には、保健所から引き取られた犬や繁殖引退犬など、新しい家族との出会いを待つ犬たちがいます。運営するのは『NPO法人DOG BASE』(代表・秋山文子さん)。これまでに犬と猫あわせて約1300頭を保護、うち約1250頭を譲渡または看取ってきました(※猫は主に淡路支部で保護・譲渡)。

 そんなカフェの一角に、どこからどう見ても犬ではない動物がいます。ミニブタのキャサリンちゃんです。今年3月、飼育放棄されかかっていたところを秋山さんが保護しました。

「SNSで、飼い主が安楽死させようとしている豚がいる、というのを見て、すぐに連絡しました。豚を飼育したことはありませんでしたが、見てしまった以上、放ってはおけません」(秋山さん)

 投稿者と共にキャサリンちゃんに会いに行くと、飼い主は車椅子生活を余儀なくされており、自身で世話をするのは難しいにもかかわらず、犬と豚を飼っていました。庭を半分に区切り、それぞれ放し飼いにしていましたが、その庭も家の中も「グチャグチャだった」と秋山さんは表情を曇らせます。飼い主は「犬は手放したくない」と主張し、その日はキャサリンちゃんだけを“救出”しましたが、のちに、犬も別の団体に保護されたそうです。

 犬と猫、ケガをした鳩は保護した経験があるけれど、豚は初めて。秋山さんはまず、「豚とは思えないほどガリガリに痩せていた」キャサリンちゃんを抱き上げて店舗の3階にあるお風呂に連れて行き、きれいにシャンプーした後、食事を与えました。食事は1日2回、豚用のエサに野菜やフルーツなどを入れて食べさせています。好物はトマトとバナナです。

 排泄は、時々“粗相”もするけれど、基本的には用意したシートの上にしてくれますし、最近はお散歩にも行っています。このあたりは犬と一緒。お散歩は「外の空気を吸わせてあげたい」という秋山さんの配慮なのですが、最初は店内をリードをつけて歩く練習から始めて、徐々に外に出られるようにしていきました。

「イヤなことをされると悲鳴のような声を上げることもありますが、普段の鳴き声は大きくないし、犬よりおとなしいですよ(笑)」と秋山さん。そんなキャサリンを家族に迎えてくれる里親さんを募集していますが、そもそも豚を扱える人は少なく、まだ譲渡には至っていません。

「連絡があったのは全部、施設の人からでした。“ミニブタカフェ”とか。ウチと環境が変わらないなら、ウチにいればいい。興味本位で飼って、また飼育放棄されたら困りますし、“家庭豚”として大事にしてくれる方がいたら譲渡したいと思っています」(秋山さん)

 空前のペットブームといわれる近年、ミニブタやマイクロブタなど小さめの豚がペットとして飼われることも多いようですが、ミニブタといってもある程度は大きくなりますし、食費も掛かるでしょう。キャサリンちゃんはGUARDIANに来たとき体重が25キロでしたが、今では40キロほどになっています。また、犬や猫に比べて飼育に関する情報量が少なく、体調を崩したとしても、一般の動物病院ではなかなか診てもらえません。そうしたことを理解した上で、すべてを受け入れてくれる人に引き取ってほしいと、秋山さんは考えています。

「終生飼育」は飼い主の責任。それはどんな動物も同じです。

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