「わざわざ」来てほしい「お店が少ない」施設 神戸の海上施設が自虐PR
「なぜ、この場所に」
「お店の数が少ないぶん、見応えがあります」
神戸の人工島、六甲アイランドにある大型複合施設「神戸ファッションマート(KFM)」の新しいキャッチコピーが今春登場したのだが、その文言が少々おかしい(気がする)。そこはかとなく漂う自虐臭は、これまでのKFMには恐らくなかったものだ。一体どうしたのか。
KFMは地上10階、地下2階、延べ床面積約12万平方メートル。大半のフロアはオフィスやイベント会場として使われているが、1~3階部分は家具やインテリア、カフェなどの専門店が集まるショッピングフロアだ。問題のキャッチコピーは、このショッピングフロアをPRするためのもので、神戸と姫路を結ぶ山陽電車にも、ゴールデンウイーク前から2種類のステッカーが掲出されている。
(1)「なぜ、この場所に」って?それは、わざわざ来ていただきたいお店ばかりあるからです。この理由は後から、考えました。でも、事実です。
(2)1店、1店が時間をかけて見たいお店ばかりです。3フロアに全21店。お店の数が少ないぶん、見応えがあります。散歩をするように、ごゆっくり。
実際、久々にKFMを訪ねてみると、ショッピングフロアの至る所に「なぜ、この場所に」とでかでかと印刷されたバナーが設置されている。何かがおかしい。担当者に聞いてみよう。もしもーし、何かがおかしいんですけど。
担当者「KFMは本年度、イメージビジュアルを刷新しました。新しいキャッチコピーは、その際にコピーライターの方と考えたものです」
-気のせいか、ちょっと自虐的な印象を受けましたが。
「その通りです。メッセージをちゃんと読んでほしいとの思いから、『ん?』と少し目を引くようなコピーにしました。『わざわざ』と書いたのは、KFMに来ていただくにはJRや阪神から『わざわざ』六甲ライナーに乗り換える必要があるからです」
「また、普通のショッピングモールなどであれば、本来はもっとお店がたくさんあるはずですが、キャッチコピーの通りKFMはお店が比較的少なく、ゆったりとしています。流行のタピオカドリンクなどもなく、お世辞にもにぎわっているとは言えません。しかし!インテリアなどのこだわりの高級商材をじっくり見ていただける環境であると自負しています」
-確かに、普段はさほどにぎわってはいませんね。
「ええ、大変静かです。でも素晴らしい場所です。近年は『e-Sports』の会場としても、よく使われているんですよ」
-新たなキャッチコピーが目指すものは。
「KFMの存在を認知していただきたいです!家具を買い替えるときなどに、KFMのことを思い出していただければ嬉しいです」
-でもわざわざ行くのもなあ…。いえ、もちろん私はそんな風に考えたことなど一度もありませんが…。
「実は現在、KFMではトートバッグを無料で配布しております。海の上にある施設だからこそ考えたい、プラスチックごみによる海洋汚染問題に対して、私たちにできることは何か、というメッセージを込めたバッグです。まだ在庫がありますので、この機会にぜひKFMへお越しいただければと思います」
-いま、会いにゆきます。
(まいどなニュース・黒川 裕生)
■神戸ファッションマート https://www.kfm-shop.jp/