猫ちゃんの耐用年数は8年…みーんな大好き猫カフェ・会計面から見ると…

猫カフェでお客さんを楽しませてくれる「従業員」の猫ちゃんたち。一匹一匹がかけがえのない存在ですが、税務帳簿上は単なる「資産」として扱われています。耐用年数が決められ、減価償却されていく対象なんです。ちなみに、動物園、水族館など、見て楽しむ生き物がいるところは同じ扱いだそうですよ。ちょっと夢のないお話ですが、生き物の会計での扱いについて、大阪市にある佐田会計事務所の税理士・佐田哲司さんに聞きました。

■猫ちゃんは「器具・備品」

猫カフェの猫は生き物ですが、会計・税務の世界では「器具及び備品」の扱いです。購入時の価格が10万円未満であれば、消耗品として、購入した年の経費となります。一方、10万円以上だった場合には「資産」となり、耐用年数に応じて「減価償却」を行う必要があります。

減価償却とは、長期にわたって使用する資産の取得に要した支出を、資産を使用できる期間にわたって配分して経費計上することです。たとえば20万円の猫を買えば、その猫による収入は何年かにわたって生まれますね。長期的に使うつもりで購入したのであれば、費用も使う年数に応じて少しずつ計算したほうがよいのではないか…という考え方から行われています。

■実際の寿命と異なる「耐用年数」

気になる耐用年数ですが、猫カフェにいるような「観賞用、興行用その他これらに準ずる用に供する生物」の場合、魚類2年、鳥類4年、そのほかの動物は8年と決められています。つまり、猫カフェの猫の耐用年数は8年となります。

この期間は猫カフェに限らず、そのほかの動物園や水族館でも適用されます。フクロウカフェにいるフクロウであれば4年、動物園のゾウやトラであれば8年になります。動物によっては、実際の寿命とは異なるかもしれませんが、会計的には収益を上げることができる生き物の寿命として決められています。

「うちの猫はもっと長く生きられるはず…」と思う気持ちもあるとは思いますが、耐用年数が短いほど早く経費化できるので、納税者には有利になります。なお、耐用年数を全うせず途中で亡くなってしまった場合は、未償却分の金額はすぐ経費にできます。

■成熟するまでは経費化できない生き物も

なお、生き物の用途によって耐用年数は異なり、牧場にいる牛や馬など畜産に使われるものなどは「生産に使用される生物」として、別途耐用年数が決められています。

繁殖用、種付け用…特に馬であれば、競馬のレースに出場する競争馬など、細かい用途にあわせて細かく決められています。これらの生き物は成長して大きくなってからしか経済的な価値は生まれませんので、子どもの間…つまり「成熟するまで」は経費化することができない決まりがあります。

りんごやぶどう、柿やナシといった果樹も、生産に使用される生物として扱われていますが、こちらも木が大きくなって実をつけるまで時間がかかるため、同じく成熟するまでの期間が定められています。

  ◇   ◇

かわいい猫のいる猫カフェや、動物園・水族館ですが、お金のことを考える視点からだと、生き物たちもひと味違った存在に見えてきませんか…!?

(まいどなニュース・川上 隆宏)

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