「最後は自宅に帰りたい」 故人の希望をかなえられないかも知れない住宅環境とは?

人が亡くなったとき、ご遺体はどこに安置されると思いますか?実は、安置には「2つの選択」があります。1つは自宅安置。2つ目は葬儀会館や集会所です。いずれにせよ、湯灌を行うのは、ご遺体が安置されている場所。葬儀会館や集会所に安置されている場合は、そこで行うことになります。

とはいえ、故人を自宅に帰してあげたいという遺族の思いは強く、葬儀を葬儀会館や集会所で行う場合でも、一度はご遺体を自宅に運び、そこで湯潅をするケースもあります。

さて、ここで突然ですが質問です。

あなたの家にはお棺が入りますか?

そんなこと考えたこともない。ウチの玄関は広いから大丈夫かも等々、さまざまなことを考えたのではないかと思います。

考えたこともないという方は、おそらく、自宅葬の経験をしたことのない方ではないでしょうか。一方、玄関の広さを思い浮かべた方は、親族の自宅葬を経験された方だと思います。

実は、自宅で葬儀をする場合、非常に重要になるのが「玄関」なのです。昔の住宅とは違い、現代の住宅は、自宅で葬儀や結婚式ができるように作られていません。ですから、住宅事情によっては、お棺を運び入れるのにとても苦労することがあります。

湯灌を始める前には、まず故人が入浴される浴槽を、安置されている部屋に入れます。そのあと、故人をおさめるためのお棺を入れます。冠婚葬祭研究所によると、お棺の平均サイズは、だいたい1.83×0.53×0.4メートル。建売住宅の場合、玄関アプローチが狭い場合が多く、縦長の形状である棺が玄関口までは入っても、そこから曲がり角があると部屋までに運びにくいのです。

2階にご遺体が安置されている場合も、配慮が必要。ストレートな階段でも難所となるのですが、くの字に曲がった階段は、慣れた人による運ぶ技術が必要だと痛感したのを覚えています。

様々な住宅で湯灌をさせていただいて思うのは、古くから伝わる構造の日本家屋は湯灌に適した構造ということ。玄関は引き戸で、2面が取り外せるところもあり、湯灌師3人で作業を行う場合でもスムーズに運び込みができます。玄関口が狭くても、縁側のあるお部屋のふすまを外すことで運び込むことができます。

日本家屋は、冠婚葬祭を想定し、作られていたのかもしれませんね。そう考えると、理にかなっています。一方、現在の住宅はどうでしょうか。人が「暮らす場」としてはとても快適ですが、人が「終わる場」としてどうなのか…。考えさせられます。

故人から「最後は自宅に帰りたい」という希望を聞いていた場合、自宅安置は故人にしてあげられることの一つです。最後に自宅へ返してあげたいという遺族の思いも、またしかり。

住宅環境によっては、それがままならない場合もあるので、自分が亡くなったらどうしてほしいなど、気持ちの確認や住宅環境について家族で話し合っておくのも、いいかもしれませんね。

(まいどなニュース特約・酒井 たえこ)

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