超文学的な美しさ!「原稿用紙柄の着物」が誕生…読書感想文の“伝道師”もこの装いで宿題手助け

 夏休みの宿題、進んでいますか?今も昔も子どもたちを悩ますのが読書感想文…。でも、こんな姿を見たら、気分だけでもちょっと楽しくなるかもしれません。関西を中心に「読書感想文が簡単に書ける」講座を開く本下瑞穂さんが身にまとうのは、なんと原稿用紙柄の着物。これ、めっちゃかわいい上に、着物自体が3部に分かれていて、5分で着られるんですって!!そんな「世界初」(そりゃそうだ)という着物が誕生した舞台裏を取材しました。

 作ったのは、京都で「三部式着物」を製造販売する「dricco(ドリッコ)きもの」(岩崎絵美社長)。着物といえば、何と言っても着るのが一苦労で、なかなか日常的に着るにはハードルが高いのが実情です。が、ドリッコの着物は上と下、おはしょりの3パーツに分かれていて、上は合わせるだけ、下は腰回りにダーツが入っていてスカートのように着られ、最後に「おはしょりベルト」を巻き、帯を着けるだけ。長襦袢もなく、和装小物も一切必要ありません。それでいながら、見た目は通常の着物と全く変わらないよう、京都造形芸術大と協力してミリ単位で調整し、4年がかりで作り上げたといいます。

 一方の本下さんは、元グラフィックデザイナー。子ども時代は大の作文嫌いで、読書感想文は「いつも泣きながら書いていた」といいますが、結婚して子どもが生まれ「自分と同じ目には合わせたくない」と改めて向き合う中で、チラシやホームページ作りとの共通点に気付いたそうです。「本質は頭の中で考えていることをまとめ、伝えること。それができれば文章になる」と本下さん。米国の小学校の授業などで使われる「グラフィックオーガナイザー」を元に、縦書きの原稿用紙に合わせたオリジナルの「あたまスッキリメモ」と「読書感想文が、よく書ける原稿用紙」を作成。「コトバノミカタ」(兵庫県宝塚市)を立ち上げ、2013年から各地で講座を開いています。

 その岩崎さんと本下さんが、関西の女性起業家を応援するプロジェクトで出会い「日本独自の『縦書き文化』を代表する原稿用紙を着物にしたら、面白い!」と意気投合したそうです。

 と言ってはみたものの、実は原稿用紙は「かなり難しい図案だった」(岩崎さん)とか。通常の着物の柄であれば、縫い目さえ合えば多少の柄のズレは許容されますが、原稿用紙はまっすぐ揃った罫線が命です。そもそも、柄自体が今までないので、襟の幅にちょうど1行分が収まるよう罫線の太さや行の幅を何度も試し、一からデザイン。縫製にも「通常の3倍かかった」(同)そうです。

 そして迎えた夏休み。本下さんは原稿用紙着物で、地元・宝塚市を始め、各地の講座を飛び回っています。元々着物好きだったそうですが、子どもが生まれてからは実家のタンスの肥やしに。でも、講座で座ったり立ったり、重い荷物を運んでも「全然崩れないし、締め付けていないから全然ラクなんです」と話し、「この着物を着て、子どもたちに楽しく読書感想文に取り組んでもらえるよう頑張ります!」と力を込めます。

 本当に、見れば見るほど、見事。しかも、古典柄のようでいて、斬新でかわいい。思わず、この「原稿用紙」にサラサラと作文を書いてしまいたくなりそうな…。あ、それって日本昔ばなしの「耳なし芳一」みたい?! なんて想像もふくらみます。もう長いこと、原稿用紙なんて使ってないけど、ちょっと書いてみたいかも。それに、なんかいい文章も生まれそうな気がして…きませんか?

(まいどなニュース・広畑千春)

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driccoきもの https://dricco-kimono.com/

コトバノミカタ http://manabinomikata.com

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