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黄金期の週刊少年ジャンプ、名物編集者が明かす舞台裏 「努力」から「個性」の時代へ

週刊少年ジャンプを語る(左から)中野博之編集長、鈴木晴彦氏、堀江信彦氏、茨木政彦氏=東京・新宿歌舞伎町
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 キン肉マン、キャプテン翼、北斗の拳、ドラゴンボール…。大ヒット作を連発した1980年代の週刊少年ジャンプ(集英社)にオマージュを捧げた「おとなのジャンプ酒場」が11日から東京・新宿歌舞伎町にオープンする。開店に先立って行われたイベントでは、60代になった当時の名物編集者たちが裏話を語り、漫画の登場人物が「努力」から「個性」というキーワードにシフトしていった時代の変遷を指摘した。

 「北斗の拳」や「シティーハンター」などを手掛けた5代目編集長で現在は実業家の堀江信彦氏と「キャプテン翼」でブームを巻き起こした集英社の常務取締役・鈴木晴彦氏はともに1955年生まれ。「ろくでなしBLUES」などを担当した8代目編集長で常務取締役の茨木政彦氏は2歳下という同世代の“3彦トリオ”だ。「80年代からのジャンプっ子」という77年生まれの11代目編集長・中野博之氏の司会で、歯に衣着せぬトークバトルを繰り広げた。

 漫画家との苦労話も。堀江氏は「江口寿史さん…、3日徹夜だよ」。同誌で「すすめ!!パイレーツ」や「ストップ!!ひばりくん!」を連載した江口氏だが、遅筆であることを自虐ネタにしている通り、編集者は一睡もせずに原稿を待っていたという。

 「漫画家と編集者は運命共同体」という鈴木氏は「(某漫画家に)『お前、もう来なくていい。出禁だ』と言われた時は人生で一番ビビった」と告白。出禁の理由は「打ち合わせ中に先生から突拍子のないことを言われた時、すぐに反応しなかったから」。理不尽などと言っている余裕はない。関係修復に必死だ。突然、土下座のポーズをしてみせた鈴木氏は「(インターホン前で)何時間(土下座)したか分からない」という。

 仕事に熱中した。鈴木氏が「銀座の高い店でも居酒屋にいるみたいに仕事の話ばかりしているので、本宮ひろ志さんに『お前らバカか』とあきれられた」と明かす。堀江氏は「女の子に『お前、うるさい、黙ってろ』って、ずっと仕事の話。飲み屋で仕事の話はやめようじゃなくて、飲み屋だから仕事の話をするんだよ」と力説し、茨木氏に「それ、もてなかっただけじゃないの?」と突っ込まれた。

 同誌のキーワードは“3大原則”の「友情・努力・勝利」。堀江氏は「読者アンケートを分析して、将来が今よりもよくなると思う子たちから『勝利』や『努力』なんて言葉が来た。それを会議で報告した」というが、鈴木氏は「『友情』と『勝利』は少年漫画なので当たり前。でも『努力』を真面目に漫画でやろうとしたら、10週くらいで終わっちゃう。努力はネタにならないですよ。漫画はキャラクター。最近、『友情、個性、勝利』と言うようにしている」と持論を述べると、堀江氏も「ある時から漫画の主人公が努力しなくなった」と同意。すかさず、茨木氏が「後付け!漫画を分析したらそうなったというだけで。どうでもいいんだよ、別に」と破顔一笑した。

 300万部から500万部雑誌へと駆け上った80年代の愛読者も今では40~50代の働き盛り。創刊50周年記念企画の一環となる1年間限定予定の同店では、84~88年の250冊やお宝グッズなどが並び、キャラクターにちなんだ料理のメニューもそろう。中野編集長は「幸せな時間を過ごせる空間です」と感無量だった。

(デイリースポーツ・北村泰介)

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