「テレ茶店」って何て読むの?人気芸人が命名で話題の喫茶店、7月末で閉店へ

 昨今、何かと話題の大阪・堺におもしろい店名の喫茶店があるというので訪ねてみた。泉北高速鉄道「深井駅」から泉北1号線を越えるとシュールな字体で「テレ茶店」の看板。なぜそんな名前に?店主の青木善法さん(45)に聞いてみると、名付け親は関西で大人気の売れっ子お笑い芸人だった。

 店内に入ると、懐かしいにおいがした。窓から西日は差していないけれど、薄暗い感じが妙に落ち着ける。店主に聞くと、この店を引き継いだときは、かつて大阪各地にあったあのコーヒーハウス「ケニア」だったとのこと。納得の調度品。50代以上の関西人には懐かしい名前ではないだろうか。

 では、いつから「テレ茶店」に?尋ねようとしたら、まさかの言葉が返ってきた。別れの予感など、これっぽっちもなかったのだが…。

 「実はね、7月いっぱいで店を閉めるんですよ。何とかやっていけているうちに辞めた方がいいかなと思って」

 地域の人に愛されている喫茶店。悲壮感がないのは何よりだが、常連客の憩いの場として親しまれているのに一体なぜ?「店を始めてちょうど10年。休みも月1回ほどしか取れない状態なんで、ここらでいったん飲食店を離れようかなと思った次第です」。現在は青木さんと奥さん、そして奥さんのお母さんの3人で切り盛りしており、悩んだ末の結論だったようだ。

 気を取り直して「テレ茶店」の由来を聞いてみた。シュールな字体から薄々気づいていたが命名者は、お笑いコンビ・シャンプーハットのこいで。かつて放送されていた「ホップ!ステップ!シャンプー!」というバラエティー番組がキッカケだった。

 こいで、てつじの2人が関西の下町などを探訪し、地域の人々と交流しながらリクエストやクイズに答えるという番組。ロケで訪れた2人に青木さんが「店の名前を変えたいんですけど」と相談すると、てつじが「青山豆法」、こいでが“アジアの歌姫”と自身のネタ「テレちゃう」からとって「テレ茶店」と解答したことでいまに至る。ちなみに正式な読みは「テレサテン」で、シュールな字体が特徴的な題字も“こいで作”とのことだ。

 「こいちゃんは、もし自分が店を出すとしたらテレ茶店と決めていたようです。私も“これっ!!”と思いました。テレサ・テンのことはほとんど知りません。こいちゃん、閉めると聞いたら、驚くでしょうね」

 残り1カ月半ほど。この店の売りは上質な豆を使った1杯400円のコーヒーだ。10種類以上あるモーニングはもちろん、ランチメニューも充実している。せっかくなのでハンバーグとエビフライ定食を頼んでみたが、こんな店が近所にあればと思えるおいしさだった。

 昼下がり。ふと店内を見渡せば、老婦2人が別々に離れた席でお茶を飲み、くつろいでいる。「この後はフランス料理店になります。寂しがる人もいるでしょうから、お客さんにはまだ言えてないんですよ」と青木さん。気になって、もう一度今後を尋ねると「8月から嫁さんと娘と3人で岡山、香川、鳥取と移住体験をしてみて、それから決めようかと」。

 45歳。どうやら“時の流れに身をまかせ”るようだ。店内の有線放送からは、信じられないようなタイミングでテレサ・テンの曲が流れた。(まいどなニュース特約・山本智行)

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