運命の出会いは「ネコのバス」に乗って…保護猫と触れ合える移動式譲渡会

 2019年4月13日から2日間、神戸市の「ネスカフェ 三宮」前で、チャーミングな「ネコのバス」を活用した保護猫の譲渡会が開催されました。「ネコのバス」の譲渡会とはどのような譲渡会なのか、詳しいお話をネスレ日本 ピュリナ ペットケアの野村裕彦さんに聞きました。

■猫と触れ合って、相性を確かめることができる譲渡会

 -「ネコのバス」の譲渡会とは、どのような譲渡会なのでしょうか。

 ネスレ日本 野村裕彦さん(以下、野村)「ネスレ日本では、2018年4月からネコリパブリックと共同で「ネコのバス」を活用した保護猫の譲渡会を開催しています。いままでに神戸で6回(各回2日間)、大阪と名古屋で各2回(各回1日間)開催しました。移動できるので、各地で開催することができるんです。人が多く集まる都心部で開催することで、保護猫や譲渡会のことを知らない人にも、興味を持っていただけたらと考えています」

 -バスの中は、どんなふうになっているのですか。

 野村「バスの中では、保護猫たちが新しい家族の方との出会いを待っています。ケージで休んでいる子もいますが、車内に取り付けられたキャットウォークを気ままに歩いたり、キャットタワーで上下運動したりしています。猫の素顔を見ることができるので、活動的だとか大人しいとか性格もよく分かるんですよ。ネコリパブリックは猫の世話の他、迎え入れ希望者とのマッチング(人と猫の相性を考える)もしています。どの猫にしようか迷われた時、プロの目でアドバイスすることもできます」

 「一度に最高6名までバスの中に入っていただくことができ、気になる猫がいれば、その場で触れ合えます。『身近なところで触れ合える』のもネコのバスの利点なんです。猫たちのストレスにならないよう、1回あたりの対面時間は約20分にしています。神戸での開催の場合12時~16時まで4時間開催するのですが、猫たちは必ず40分間休憩します」

 -どんな人が参加できるのですか。

 野村「迎え入れ希望者の方なら、どなたでもお気軽ご参加いただけます。ただ、『ネコのバス』の譲渡会は『家族を探す会』なので、単に猫と遊びたいという目的の方は、利用を控えてもらっています」

 -どのような流れで譲渡されるのでしょうか。

 野村「希望される猫が決まったら、保護主さんとの面談に進んでいただきます。家族構成や住環境、年齢などの譲渡条件にマッチすれば、双方合意のもとで一定期間のトライアル譲渡がスタート、その後、正式譲渡という流れになります」

■ 二度と悲しい思いはさせたくない

 -猫は何匹くらい参加しているのですか。

 野村「今日は6匹の成猫が参加しているのですが、子猫が来ることもあり、毎回数は変わります。名前や保護にいたった経緯などもご覧になれます」

 -いままでに何匹の猫を譲渡されたのでしょうか。

 野村「昨年4月・6月・10月に三宮(神戸)で延べ6日間開催した譲渡会に参加した猫は全部で55匹、うち譲渡にいたった猫は16匹です」

 -55匹参加して、譲渡にいたったのは16匹なのですね。

 野村「保護主さんは、猫を譲渡するにあたり、「二度と悲しい思いはさせたくない」と強く願っています。そのため、条件に合わない場合は譲渡できないこともあります。たとえば、初回は16匹の猫が参加し、うち15匹の猫に引き合いがありました。しかし、トライアルまで進んだ猫は8匹、譲渡された猫は5匹です。猫たちの幸せを願うなら、それもやむを得ないと考えています」

■ひとつひとつ問題を解決していきたい

 -今後の展望について聞かせてください。

 野村「『ネコのバス』は移動式なので、各地で譲渡会を開催することもできます。しかし、2ヶ月に一度、三宮で『ネコのバス』の譲渡会を開催しているので、まずは、『定期開催』をしているということを、たくさんの人に知ってもらえると嬉しいです。

 -行政ともタッグを組んでいるのですか。

 野村「動物愛護法が改正されて殺処分数が減ったとはいうものの、行政では人とペットとの共生社会をどのように実現していくべきか悩んでいると聞いています。『ネコのバス』を活用した譲渡会が課題解決の一助になればとの思いから行政との取組を進めています。スタートしてから1年ですが、私たちが加入している『神戸市人と猫との共生推進協議会』や名古屋市、大阪市とも協力して、ひとつひとつ課題の解決法を探っていけたらと思っています。

(まいどなニュース特約・渡辺陽)

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