へその緒ついたまま氷雨に濡れていた三毛猫 保護されて手に入れた幸せな日常

 3月といえば春めいた感じはしても、まだまだ凍えるような寒さ。吐く息が白くなるような氷雨がそぼ降る日に、動物看護師の高山さんは誰かが捨てた三毛猫の子猫を偶然発見した。

【へその緒がついたままの子猫】

 2013年3月、大阪に住む動物看護師の高山さんは、用事があって家族と駅に向かっていた。あるマンションの植え込みに目をやると、そこにはへその緒がついたままの子猫が捨てられていた。その植え込みは人の腰くらいの高さがあり、到底、小さな子猫が這い上がれるような場所ではない。誰かが、生まれたての子猫を捨てたと考えられている。

 高山さんは、可愛そうだとは思ったが、猫を飼うにはいくつか考えなければならないことがあった。ミックスの小型犬を飼っていた上に、家の中には置物がたくさんあって、上下運動をする猫が住めるような環境ではなかった。さらに、妹は猫アレルギーで、嫁いだとはいうものの、よく家に出入りしていたという。他にも人の出入りが多い家だったので、猫がパッと逃げ出してしまう危険性もあった。

 「家族と相談して、帰り道、まだここにいたら保護しようということになったんです」

【だんだん愛情がわいてきて「うちの子」に】

 「どうしているだろう」。帰路、もう一度植え込みをのぞくと、そこにはまだ子猫がいた。自分で飼うか、里親を探すかは決めていなかったが、高山さんは、ひとまず子猫を保護することにした。

 「眼を開きかけた時の顔が芸人の間寛平さんにそっくりで、でも、女の子なんで寛平はどうかと。だから、カンコと名付けたんです。あんなところに捨てられていたのに、元気いっぱい!あっという間にミルクをゴクゴクと飲み干しました。生命力あふれる感じだったんです」

 カンコちゃんを保護した後、一生懸命里親を探した高山さんだが、小さな命を育むうちにだんだん愛情がわいてきた。

 「誰かに譲ったとして、でも、本当にちゃんと育ててくれるだろうか。そう思うと心配になってきて、最終的にはうちで飼うことにしたんです。妹の猫アレルギーも、なぜかカンコは大丈夫でした」

【遠慮なく甘えられるように】

 相性が心配だったという愛犬マロンちゃんは、当時推定11歳。最初からカンコちゃんの世話をよくしたという。

 「最初は、大丈夫かなと心配したんですが、マロンはカンコに寄り添ったり、カンコに耳を噛まれると吠えて首根っこを噛んで教育したりして、まるでお母さんのように接していました。カンコのほうがマロンより大きくなると、カンコの方からくっつくようになりました」

 マロンちゃんは2018年10月に亡くなってしまったが、カンコちゃんは、以前より甘えん坊になったそうだ。

 「前は人に甘えると、マロンがやきもちを妬いて怒っていたんですが、マロンがいなくなったので、人にスリスリしたり、布団に入ったりしてくるようになったんです」

 カンコちゃん6歳、人間の愛を一身に受けて幸せな毎日を送っている。(まいどなニュース特約・渡辺陽)

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