「リレーアタック」の防御策とは スマートキー性能を悪用した車両盗難、小川泰平氏が解説

 「リレーアタック」という新たな手口の車両盗難が増えている。微弱な電波を出してドアを開ける「スマートキー」が登場したことにより生まれた車両盗難の犯罪だ。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は16日、デイリースポーツの取材に対し、その現状や背景、盗難後の車の行方、そして防御策を解説した。

 スマートキーの電波を捕まえ、増幅器で車両まで送り解錠する役、エンジンを動かして乗り逃げする役がいる。スマートキーの電波をリレーして車を盗む手法から「リレーアタック」と呼ばれている。

 小川氏は「欧米ではもっと以前から起きていて、ヨーロッパあたりの車の泥棒はほとんどこれです。日本では2年くらい前に“上陸”し、この手口による事案が起きています」と解説。特に海外から日本車は狙われているという。

 小川氏は「正規の車だけでなく、盗難車でも日本の車は海外で1番人気です。自分の足代わりに盗むのではなく、“転売目的”であり、組織的犯罪。『この車が欲しい』という“注文”を受けてから盗むこともあります」と説明した。

 さらに、同氏は「盗んだ車はそのまま解体工場へ持って行き、部品にバラしてパーツごとに送られ、海外へ運ばれて組み立て直す。残念ながら、一度盗まれると、まず戻って来ません。リレーアタックで盗難にあった車両が見つかるのはまれです」と、盗難後の処理方法等を明かした。

 また、スマートキーのシステムを悪用した犯罪で使われる「電波増幅器」は20ドル(約2200円)ほどの安価という。小川氏は「中国で売られているものが多いのですが、中には性能が“いいもの”もあれば粗悪なものも多いという。1回エンジンを切ってしまうと、もうかからないというものもあれば、スマートキーの電波を記憶するものもある」と解説した。

 では、どのようにすれば防げるのか。小川氏は「外出先でも車から離れる時は常に注意が必要です。デパートなど、ある程度、大きい場所ではどの車が駐車場に来るか狙われてますから。車から降りる人を付けて、その人が持つスマートキーから電波を取り組む。1~2メートル近づかないと電波を拾えないので、接近してくる人には注意です」と呼びかけた。

 スマートキーをアルミホイルでくるんで電波を遮断する方法もあるが、小川氏は「毎回、毎回、くるむのかと。自分の車が狙われていると分かっているのならいいですが、台数からすると盗まれる確率は何千台、何万台に1台くらいしか盗まれていないので、それからすると、毎回アルミホイルでくるむのはどうかと思います」。手間がかかるという非合理的な面で現実的ではないという見解だ。

 同氏は「今はスマートキーを改良しているところで、微弱ボタンをもっと微弱にできる方法もある。さらに車に近づかないと作動しないくらいの弱い電波。ディーラーに持って行くと簡単にやってくれるそうです」と紹介。さらに「自宅の車庫の場合はスマートキーを玄関には置かないこと。微弱電波が届かない位置に置く必要がある。また、車だけでなく、車庫の防犯対策も必要。(泥棒が)車庫に入って来れないようにすることも大事です」とアナログ的な側面からも対策を説いた。

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