道産子の店主が作ってくれる忘れられない味…らーめん颯人(はやと)

 大阪・南森町の駅から南へ徒歩3分。お初天神からほど近いところに「らーめん颯人」がある。小さな看板と暖簾、人が並んでいなければ、思わず見逃してしまうような店なのだが、順番待ちしないと食べられないほどの人気店。道産子の店主・石垣直人さんが、14年の歳月をかけて試行錯誤して作った美味しいラーメンを、たくさんの人に食べてもらいたいと思って作った店だ。

 ガラス扉を引いて店の中に入ると、漆黒のカウンターに7席のみ。メニューもシンプルで、みそらーめん、しおらーめん、しょうゆらーめんと煮玉子などのトッピング、白ごはんとドリンクのみ。今回は、日清チルド食品株式会社の開発担当者が目を光らせたという「みそらーめん」を食べてみた。

 みそらーめんに使われている麺は、中太のやや平打ち麺。鶏と豚肉、野菜をベースに作るというスープに使う味噌は、鍋肌で焼いて芳ばしい香りを増すそうだ。山椒の爽やかな香りと辛味が効いていて、しょうがもたっぷり入っているので、体が芯からぽかぽか温まる。とろみのある熱々のスープに美しく盛り付けられた麺、その上には美しく刻まれた白髪ネギと柚子の皮が乗せられている。

 口に含むと、柚子の香気とネギの甘みが口の中に広がり、しっかり絡み合う麺とスープ。飲むスープというより、麺と一緒に食べるスープという食感だ。トッピングのチャーシューは角切りと薄切りの二種類。それぞれ風味を変えているという。メンマなどもすべて自家製。時間をかけて作り、じんわり味をなじませている。

 カウンターには、一味唐辛子とこしょうが置かれていて、自分の好みの味に整えることもできる。しかし、まずは調味せずに味わってみることをおすすめしたい。

 らーめん颯人のすごいところは、客によって麺の茹で具合やスープの味わいを微調整しているところだ。そのため、同じみそらーめんでも、老若男女、いろんな人の口に合うし、そうしたちょっとした気遣いが心に染みる。

 「何度か来てくれたお客さんなら、好みの味を覚えています。子供が、『また食べたい』と言ってくれるとうれしいですね」と、店主の石垣さんは顔をほころばせた。

 カウンターの下に荷物を置けるようになっていて、そこにはティッシュと紙エプロンも備え付けられている。女性一人でも入りやすい雰囲気だ。

 店主の石垣颯人さんは、北海道出身。22歳で出会った「らーめん桃福(とうふく)」という店の味に感動し、25歳の時から、その店で修行を始めたという。北海道で約10年修行、大阪でも4年ほど、通算14年修行した後の2015年2月に「らーめん颯人」をオープンした。ミシュラン2016年京都・大阪版に掲載され、その後4年連続でビブグルマンを受賞した。「受賞したこと、それはそれでうれしいのですが、ぼくは、ただただ『美味しいラーメンを食べてもらいたい』その一心でやっています」と、淡々と語る石垣さん。

 11時開店なのだが、材料がなくなり次第閉店。14時頃までに行けば食べられるそうだ。(神戸新聞特約記者・渡辺陽)

【店名】ラーメン颯人(はやと)

【住所】大阪府大阪市北区南森町1-2-2

【電話番号】06(6312)8276

【営業時間】11:00~食材切れまで通し営業

【定休日】月曜日

ツイッターURL https://twitter.com/ramen_hayato

◆渡辺陽(わたなべ・あきら)大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。フェースブック(https://www.facebook.com/writer.youwatanabe)

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