冬に食べたい西日本の駅弁「おすすめ3選」 イチオシは“シーラカンスのような駅弁”

 12月とは思えない気温の高い日もあったが、徐々に冬を実感できる時季になってきた。今回は西日本に数ある駅弁の中から、私の“独断と偏見”で冬に食べたい駅弁ベスト3を紹介。一度食べて、その魅力を実感してみてはどうだろうか。

  ◇  ◇

■まず第3位は-

 冬になったら食べたくなるのがカニ。今年も例年通り11月初旬からズワイガニ漁が解禁となり、日本海方面は活気が出てきた。

 カニを使った駅弁の中で私が一番多く食べたのが、福井駅「番匠本店」さんの「越前かにめし」だ。ごはんはセイコガニの卵、みそなどで炊き込んであるので、カニを模したふたを取ると風味が抜群。約40年前に初めて食べた時、こんなうまいかにめしがあるんだと驚いたものだ。雄、雌取り混ぜたズワイガニの身がたっぷりで、酢で締めていないためカニ本来の味が楽しめる。のりの小袋はお好みで。子供の頃の給食を思い出させてくれる、白いプラスチックの先割れスプーン付き。

■続いて第2位

 日本で初めて加熱容器を使用し、温かく食べることができるようになった新神戸駅の「あっちっち但馬牛すきやき弁当」。35年前、私が高校時代に「あっちっち弁当」が発売中で、修学旅行の出し物クイズに、実際にある駅弁は?という問題を4択で出したのを思い出す。「あっちっち」「こっちっち」「どっちっち」「もんちっち」-。ネットもない時代で難問だった!?食べたことのある先生が笑顔で答えてくれたっけ。

 実際に食べてみると“冷めてもおいしい”という駅弁の常識を覆したのに度肝を抜かれた。ひもを引っ張って数分待てば、湯気がジュウジュウと音と共に出て、いい匂いのする作りたてのような駅弁に早変わり。但馬牛がみずみずしくて柔らかく、実にうまい。糸コン、玉ネギ、白菜、長ネギ、シイタケ、ニンジンと具材もたっぷり。すきやきが代名詞で、牛肉を扱うのが得意な、「淡路屋」さんらしい駅弁だ。電子レンジで温めるのとは違う、蒸気で温めた、作りたてのほかほか感が食欲を満たしてくれることだろう。

■輝く第1位!

 私が大好きで、毎日でも食べたいのが宮島口駅の「あなごめし」。製造元の「うえの」さんに列車が駅に着く時刻を電話で伝えて取り置きをお願いすると、すぐ近くの桟橋にある店舗から列車到着5分前の調製で提供してくれることもあった。近場で1種類だけの駅弁を扱う強みといったところだろうか。

 容器は全面経木を使用し、ファンの間からは100年以上前の発売当初から変わらない、“シーラカンスのような駅弁”と比喩の声も聞かれる。

 出来たてを食べるより、アナゴの香ばしい匂いを我慢しつつ、粗熱が取れて経木が余分な湿気を吸い込んだ2~3時間後にいただくのが一番おいしく感じる。

 ふたを取ると、きれいに並んだアナゴの四角い切り身が一口サイズで食べやすく、仮にタレがなかったとしてもアナゴの持つ素材のうまさだけで箸が進むことだろう。ご飯はアナゴの骨から取っただしで炊いてあるので、相性はバッチリだ。

 トワイライトエクスプレス瑞風の食事にも採用。食堂車で調理され食べられるようにもなった。

 秘湯温泉のように、すっと行ってすぐ手に入らない場所にあることで、食べた時にいっそうおいしく感じ、達成感も大きいのではないのだろうか。

  ◇  ◇

 これ以外にも食べたい駅弁はたくさんあったが、悩みに悩んだ末、この結果となった。単にお腹を満たすだけでなく、見ても楽しめ、販売業者の知恵と工夫の詰まった、その地方の特産物を満載した駅弁を、今すぐにでも食べに出掛けてみたくなった。(デイリースポーツ・柴田直記)

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