リスクあったゴーン会長逮捕は事実上のクーデター 須田慎一郎氏指摘 株価下落も

 日産自動車の代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が報酬を約50億円過少に申告した金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたことを受け、ジャーナリストの須田慎一郎氏は20日、デイリースポーツの取材に対して「事実上のクーデター」と指摘し、“司令塔”を失ったことにより、中長期的に株価が下落する可能性を示唆した。

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 ゴーン容疑者逮捕から一夜明けた東京証券取引所には、テレビ局のカメラが4台入った。日産ショックで株価が大きく下落すると思われたからだが、思いのほか堅調だった。今回の逮捕によって、どれだけ株価に影響が出るかは、まだ見極めが付かない状況だ。

 今回の逮捕劇はゴーン独裁に対する事実上のクーデターだ。日産、ルノー、三菱の3社とも、ゴーン会長の逮捕と退任に対して、消極的、積極的かは別にして“歓迎”だろう。

 日産株の5割近くを持つフランスのルノーにとっても、ゴーン会長の高額な役員報酬には不満があり、彼のコストカッター的なやり方より、融和的な経営を望んでいた。日産でも、その独裁に終止符を打つ動きが水面下で進んでいた。

 逮捕の決め手となった「虚偽の記載をしたとされる約50億円」だが、これは「裏金」ではない。そこを今回の報道で誤解されている人もいるようだ。裏金なら脱税となり、所得税法違反という“王道”によって逮捕されることになるが、それはできなかった。海外の子会社が家を買っていたことも、社内の手続きを踏んでいた。そのため、金融商品取引法違反容疑という、イレギュラーで、相当なリスクをとっての逮捕劇となったわけだ。

 ただ、ゴーンの個人的な力量は大きく、今後、彼以上のカリスマが現れない限り、日産、ルノー、三菱が“三人四脚”で動いていくのには無理がある。司令塔だったゴーンなき後、中長期的に見たときに株価が下落していく可能性がある。“目の上のたんこぶ”だったゴーンがいなくなったが、残った人間で代わりは務まらない。投資家もそのあたりを慎重に見極め、今後の様子をうかがっていくことになるだろう。(ジャーナリスト)

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