「海の京都」に道の駅を超えたフード施設 究極の産地直送と“もったいない精神”

 漁港直結の観光商業施設「宮津天橋立 漁師町ととまーと」(京都府宮津市)が21日にオープン。地元の新鮮な魚や農産物の飲食、販売はもちろん、干ものやちくわ作りを体験できるのが特徴。運営する「宮津フードファクトリー合同会社」の浜田伸治代表(55)に意気込みを聞いた。

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 京都府北部の日本海側「海の京都」の一角として注目を集める宮津に新たなフード施設が誕生した。「ととまーと」の「とと」とは魚のこと。運営会社の浜田さんによると「地元で親しまれている言葉です」とのことだ。市が2億1000万円をかけて食品卸売センターを全面改修。ガラス張りのおしゃれな2階建てで、延べ床面積は1700平方メートルあり、1階部分に8店舗が入っている。

 店の内訳は海鮮丼や刺身定食、お寿司を提供するレストラン、土産物店、特産品売り場、地元の果物を使ったジェラートを出すカフェなど。フードコートは60席と30席の大小2カ所あり、清潔でゆったりとした空間が広がっている。

 正面入り口には宮津湾で取れたばかりの魚が入ったいけすがドドーンと設置。何しろ宮津市漁師という地名だけあって、魚小屋から施設までわずか10メートルという至近距離だ。

 「これは究極の産地直送と言ってもいいんじゃないでしょうか。朝取れた魚がさばかれ、それをお客さんにおいしくいただいてもらう。双方に流通が見え、漁師さんの励みにもなってます」

 理念は収益性アップと“もったいない精神”。例えばサワラになる前のサゴシやふぞろいの柑橘類も、ここでは破棄することなく食材として提供する。

 「フードファクトリーとしたのも実はそこが狙い。商品開発にも力を入れ、単なる『道の駅』のような形態ではなくて、工場のような役割を果たしたい。お客さんには安く提供できますし、漁師さんや生産農家にとってもメリットがあります」

 さらに、ユニークなのが干ものやちくわを作る体験スペースを設けている点だ。アジ、サバ、タチウオ、タイなどをさばき、その後、定食と一緒に食べることができる。

 実際に私も包丁を手にアジの開きに挑戦。スタッフの力を借りて何とか完成した。特殊な機械で干ものを乾かしている間に近くの日本三景「天橋立」を見物。「2時間干し」後に施設に戻り、鯛飯とともにいただいたが、これがなかなかの味だった。

 浜田さんによると今後は漁師さんによる漁船タクシーでの“宮津湾ツアー”も計画中とか。近くには伊根の舟屋もあり、これからは寒ブリがおいしい季節。「海の京都」も観光資源には事欠かない。営業時間は午前9時から午後6時。定休日は火曜。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)

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