40周年迎えた雑誌「ムー」 ノストラダムスの予言は終わっていない!編集長明言

「ムー展」で40年の歴史を振り返る三上丈晴編集長=都内
会場に並べられた雑誌「ムー」の表紙パネル=都内
「ムー」創刊号の巨大パネル=都内
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 超能力、未確認生物(UМA)、UFO、心霊現象、古代文明の謎…。1970年代の日本でブームを巻き起こした、人知を超えた不思議な世界と向き合う雑誌「ムー」(学研プラス刊)が創刊40周年を迎え、記念の展覧会が東京・池袋パルコミュージアムで29日まで開催されている。「ムー民」(ムーの愛読者)が集う会場で、三上丈晴編集長を直撃し、その世界観と今後について聞いた。

 あのユリ・ゲラー氏が日本でブレークしたのが74年3月のこと。日本テレビ系「木曜スペシャル」で司会の大橋巨泉氏らを前に“念力”でスプーンを曲げ、全国のお茶の間に念を送って止まった時計まで動かしてみせた。この超能力という名のエンターテインメントは当時の男子小学生にもバカ受けで、給食の時間になると、セッセとスプーンのクビ部分をこすって先生に怒られたり…と、今思えば、なんともはやの社会現象になっていた。

 前年に発売された五島勉氏の「ノストラダムスの大予言」がベストセラーとなっていた時代だ。当時の子供たちは99年7月に人類が滅亡する、いや、そこまでいかなくても何かが起きる、ただでは済まないと、本気で思い込んでいた。リアルタイム世代にとって、何事もなく同年7月が過ぎた時の“安堵と拍子抜けの表裏一体感”は今も記憶に新しい。

 スコットランドのネス湖で目撃されたとされるネッシーや日本に生息すると伝えられるツチノコといったUМA、ムー大陸や地球空洞説、オカルトブーム期にメディアを席巻した心霊写真…。挙げればキリがないが、とにかく熱かった70年代の終わり、すべてを引き受けて80年代以降に橋渡しする格好で雑誌「ムー」は創刊された。

 同展では、79年10月発売の創刊号から最新号まで456点の表紙パネルが壁一面に並び、ゲラー氏のサイン入りスプーン、サイババ氏の聖灰、ニホンオオカミのミイラ(とされるもの)、ビッグフット(巨大獣人)の足型、UFO調査に使用されたガイガーカウンターなどが展示され、福山雅治ら著名なムー民たちから熱いメッセージも寄せられている。

 三上編集長は筑波大で物理を学び、入社1年目の91年からムー編集部一筋の50歳。「理論物理とかもムー的なものとの親和性がある。知的エンターテインメントにして捨てられない雑誌。ずらっと本棚に並べ、結婚したら奥さんに捨てられるというパターンの(笑)。読者は“隠れキリシタン”。『ムー読んでるよ』って信仰告白ですよ」と魅力を語る。

 印象的な企画として、三上編集長は超能力捜査で知られるジョー・マクモニーグル氏との仕事を挙げた。

 「FBI超能力捜査官という肩書で紹介されたりするんですけど、実際、米軍に創設された超能力部隊のメンバーで、すごい能力ある。歴史ミステリーを超能力で解き明かそうと、邪馬台国を透視で探す総力特集は面白かった。畿内か九州か、卑弥呼の顔は…とか」

 ノストラダムスの大予言でハルマゲドンがあるとされた99年7月発売号での総力特集も忘れられない。三上編集長は「年代が区切られている予言ものは、それが過ぎるとパタリと世の中の関心がなくなってしまう。マヤ予言の2012年12月23日(人類滅亡説)もありましたけど、その時は盛り上がっても、それも過ぎれば…」と、難しさも吐露した。

 だが、ノストラダムスの予言そのものはまだ終わっていないのだという。三上編集長は「予言は3700年以降まである。どうしても99年=世紀末というイメージが強烈にあったので、その年が予言の代名詞になりましたが、研究家は『この先もある』と言っておられます」と明言した。

 そして50周年へ。かつては読者が紙焼きの心霊写真を編集部に送ってきたものだが、今はスマホで撮った画像がラインで送られてくる時代。三上編集長は「出版界全体として雑誌という文化がどこまで生き残っていけるか。ネットの速さには勝てないので、研究家の意見や検証を誌面で読んでいただければ」と紙媒体ならではの強さをアピール。今後に向けて「とにかくネタを!」と腕まくりした。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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