“見やすい”信号機で事故を防げ!省エネにも効果大…LEDで進化する最新型灯器
9月21日から30日まで「秋の全国交通安全運動」が実施されている。最近では、元モーニング娘。吉澤ひとみ被告の信号無視での飲酒ひき逃げ事件が世間を驚かせた。ドライバーとして安全運転を心がけるのは当然の義務だが、実は街中で見かける「信号機」に変化が起こっていることをご存じだろうか。
「あ、明るい!」。LED式の信号機が導入された当初、くっきりした強い光に驚かされた。東京では17年3月末に整備が完了。全国的に見ても今や電球式の数を上回っているという。事故を未然に防ぐためにも、LED式の“見やすい”信号機が増えることは有意義だろう。
「う、薄い!」。今度は真下から最新型信号機を見て驚いた。17年6月に大阪市鶴見区で全国に先駆けて設置された小型灯器だ。厚さはわずか6センチ、サイズは縦36センチ×横105センチで正面面積は従来型の約4分の3ほど。この信号機はコイト電工製で、サイズや形状はメーカーによって若干異なるが、総じてLEDが小型化を可能としている。
警察庁が定める標準のレンズ直径は30センチから25センチになったが、LED式は高い視認性を保つため「見えにくくなったという声は特に寄せられていません」と大阪府警交通規制課。府では17年3月末までに約360カ所の交差点で設置されており、その後も増えていっている。
省エネ効果も絶大だ。従来と比べてLED式の消費電力は6分の1から7分の1程度、耐用年数は10倍以上が見込まれるという。最新型は本体自体の価格も下がることから「低コスト灯器」とも呼ばれている。
ちなみに、新旧あわせた信号機の設置台数は東京がダントツ1位。愛知県と北海道が2、3位に続いており、大阪は全国4位だという。全国有数の設置数を誇る大阪では、省エネがもたらす効果も半端ない。コスパに“うるさい”お土地柄だけに、全国に先駆けて小型灯器が設置されたのもうなずける。同課によると、全くの偶然とのことだが…。
技術の進歩を感じる最新型。一方で従来型への愛着が増す人も少なくない。自身のホームページで各地の信号機を紹介している北海道札幌市の大学院生・岩原拳士朗さん(22)は「以前の信号機は種類が多く、地域ごとのオリジナリティもありました。また、『ひさし』は信号機の特徴が表れやすい部分ですが、低コスト灯器には基本的にそれが無いので寂しいと思います」と話す。
確かに、前述した鶴見区の最新型タイプにはひさしが無い。電球式では、太陽光による疑似点灯を防ぐために用いられてきたが、LED式ではその必要がなくなる。おかげで薄型・軽量化でき、積雪や強風などへの耐久性も上がるが、従来型のような「個性」が出にくくなるのは惜しいことかもしれない。
一方で、岩原さんは「これから先、低コスト灯器が更に改良されていく可能性もある」と、未来の灯器の形にも期待している。安全かつ“味”のある信号機を-。熱心なファンならずとも、交差点では安全に十分配慮しつつ、新旧それぞれの信号機の表情をチェックしてみてはどうだろうか。(デイリースポーツ特約記者・福岡 桃)