河内音頭の本場・八尾の最大イベントが台風で中止、大みそかで仕切り直し!

河内から駆け付けた音頭取り・鉄砲光丸の熱唱は本場の底力を示した=東京・錦糸町
高架下の会場でビッシリと踊り子が詰めかけた錦糸町の河内音頭盆踊り
東京で夏の風物詩となった錦糸町の河内音頭盆踊り
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 8月末に東京・錦糸町で行われた河内音頭の盆踊りは盛況のうちに幕を閉じたが、スタッフは本場・河内へのリスペクトを込めて“聖地巡礼”の勧めを説いた。関西人も意外と知らない、地元の河内音頭ってどんなん?

 ちょうちんに照らされた櫓(やぐら)には太鼓や三味線、エレキギター、鉄砲光丸ら河内から来た音頭取りがうなる。1982年から37年連続で開催された「すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」。2日間で約3万人の踊り子たちは至福の時間を満喫したが、高架下にある会場の人口密度はかなりのものだった。

 運営団体「首都圏河内音頭推進協議会・イヤコラセ東京」の議長で、第1回から運営に関わる鷲巣功氏も「ここ10年くらいで非常に認知されましたが、私からすれば過剰な盛り上がりをしています。正直、人が多すぎる。これほど混雑している場は大阪でもないですから」と指摘した。

 課題を残しつつ、現場の盛り上がりには文句の付けようがなかったのは確か。ならば視点を本場に移して原点を探ってみよう。鷲巣氏は「錦糸町の河内音頭に土着性はない。はっきり言って音楽イベントです。錦糸町に来られた3万人には、ぜひ河内に行って欲しい。ここがすべてじゃないんだということですね」と提案した。

 河内の実態とは?鷲巣氏は「情報を元に現地に行き、近所の人に聞いたりして探す。『本当にここでやるの?』という山の上とかで音のする方に向かうと、20分前までは何の準備もできていなかった場所でやっている。“宝探し”ですね。八尾市、松原市、河内長野市、さらに京阪電車の沿線では江州音頭が盛んです」と解説した。

 錦糸町に出演した河内出身の若手音頭取り・永田充康にも聞いた。永田は阪神タイガースの応援歌を河内音頭にアレンジした「河内猛虎音頭2005」を作曲し、米ニューオーリンズ仕込みのジャズドラマーでもある。

 「師匠に聞いた話では、近くの村ごとで音頭をやっていて、音頭取りも一晩に7か所くらい掛け持ちで回っていたと。今は夜10時頃に終わりますが、当時は夜中や朝方までやっていて、間違えて別の村の櫓に上がる師匠もいたとか(笑)。70年代頃までの話です」

 9月9日には大阪府八尾市で最大のイベント「八尾河内音頭まつり」が開催予定だったが、41回目にして史上初めての中止が直前で決まった。八尾市経済環境部産業政策課によると、会場の久宝寺緑地が台風21号で木が倒れるなどの被害を受けて復旧のメドが立たず、安全確認ができないという判断だった。

 同課では「10月8日は商業施設で屋内イベント、12月31日には毎年恒例となった近鉄八尾駅前で河内音頭のカウントダウンライブが行われます。そこに向かっていきたい」と切り替えた。河内音頭事情については「現在、7~8月に八尾市内で櫓が建つ盆踊りは30~40件ほど。4~6月も月1回は定期イベントがあり、冬も含めて通年のイベントになっています」と説明した。

 夏の終わりは錦糸町へ、大みそかは八尾で年越しという流れが、音頭ファンに定着していくかもしれない。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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