華麗なる変身をとげていた元G戦士 今は「撮り鉄の屋鋪」

 屋鋪要さん(58)はプロ野球・大洋時代(現DeNA)にスーパーカートリオの一員としてならし、巨人時代には足と守備のスペシャリストとして存在感を示した。「ヒゲの屋鋪」といえば、ピンとくる人も多いのではないか。

 そんな屋鋪さんはいま「撮り鉄の屋鋪」として鉄道ファンの間で広く知られている。しかも専門ジャンルは蒸気機関車、SLである。

 写真好きだった父・貢さんの影響で鉄道少年になった。子供のころ夏休みに父とともに住んでいた兵庫・川西から北海道まで足を運び「C62・ニセコ号」を前に夢中になってシャッターを切った。

 さすがに現役時代は撮り鉄を堪能するわけにはいかなかったが、引退後は月に一度のペースで鉄道の撮影に出かけている。

 JR東日本の『四季島』や西日本の『瑞風』のような超豪華列車には「あまり興味がない」という。「やっぱりSLやローカル線の気動車など、人間くさく味がある列車が好きなんですよね」とSLのスペシャリストらしいコメントだ。

 「モクモクと上がる白煙、吐き出す蒸気…SLほど人間くさいものはないですよね」とその魅力を語る。自慢は全国に散らばる601両の保存蒸気機関車を全て撮影したことだ。

 2006年から、地方を訪れ7年をかけてコツコツと撮影を続けた。その模様は鉄道雑誌で連載され、14年には「目指せ打率10割!屋鋪要の保存蒸気完全制覇」として出版された。デイリースポーツでも10年と12年にも連載された。九州で22両もの撮影に成功した。

 “盗塁王と蒸気機関車”。その取り合わせが話題となり、テレビの鉄道番組や講演会やイベントなどに引っ張りだこだ。

 屋鋪さんによると今年の“SL業界”は復活運転がめじろ押し。「8月に栃木で走り始めるC11・207の『SL大樹』や、9月には山口線の『SLやまぐち』で復活するD51・200など楽しみですね」と心躍らせる。

 現役時代は俊足とトレードマークの口ひげで人気者になった。大洋時代に高木豊、加藤博一とともに当時の近藤貞雄監督から「スーパーカートリオ」と命名された。86年から3年連続盗塁王を獲得した。94年に移籍した巨人で日本シリーズに出場し、長嶋茂雄監督初の日本一に貢献した。巨人では御法度だった口ひげも、長嶋監督の“お墨付き”をもらって生やし続けた。

 「盗塁王」から「SL写真家」へ、華麗なる変身を見せた屋鋪さんだが、自分を育ててくれた野球界にも恩返しを忘れない。少年野球のコーチとして、月曜日から金曜日まで関東地区5つのチームを巡回して指導している。また週末には全国各地で行われる少年野球教室にも出かけるなど忙しい毎日を送っている。(デイリースポーツ・高鷲浩介)

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