佐野海舟 恩師・相馬直樹氏が語る“原点”とは 愛弟子へエール「海舟はボールを奪うこと。それがチームの大きな力になる」

 事前合宿で調整する佐野
 町田・佐野海舟=2020年6月
 悲願のW杯初出場を決め、肩には日の丸、頭上にフランス国旗を掲げながら場内を回る相馬=11月16日、ジョホールバルのラーキン競技場(共同)(了) 19971217 
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 サッカーのW杯北中米3カ国大会(11日開幕)日本代表で、W杯代表に初選出されたMF佐野海舟(25)=マインツ=は、ドイツ1部リーグで日本人初となる2季連続リーグ戦全試合出場を達成するなど日本屈指のボランチに成長した。意外にも、プロ入り当初はサイドバック(SB)でプレーしている。当時J2町田で指導した元日本代表DF相馬直樹氏(54)がこのほどデイリースポーツの取材に応じ、町田入団の秘話とサイドバック起用の真相について語った。

 今や森保ジャパンに欠かせない中盤の主力となった佐野。鋭い読みと出足でのボール“回収”は、代名詞となっている。約7年前の高卒新人時代を知る相馬氏は、柔らかい口調で、大きく成長したかつての教え子について語った。

 「親心じゃないけど、そういう感じで見ていた。代表では最初、少し遠慮している感じで、特に攻撃の時は自信なさげにやっていた。でも今は、だいぶ自信がついてきたんじゃないかな」

 佐野との出会いは2018年秋。当時の丸山竜平強化部長から「ちょっと見てもらえませんか」と、Bチームで臨む練習試合に米子北高3年だった佐野の起用を頼まれた。「どんな選手?」と返すと「名前は海舟。ボール回収します。相馬さん好きなタイプだと思いますよ」と太鼓判を押された。

 練習試合の残り30分で投入した佐野を見て、相馬氏はすぐに確信した。「もう見てすぐ、『(獲得に)いこうよ』」。第一印象は前評判の“回収”にとどまらなかった。「ボールと一緒に動ける。だから自然とボールを拾えるし、前にも行ける。攻撃にも守備にも参加できる」と絶賛。直前に佐野は、別のJクラブの練習に参加していたが、結果が振るわず、このチャンスに燃えていたという。

 佐野は1年目、主戦場のボランチではなくSBで起用された。現役時代、SBの名選手だった指揮官の目に光るものがあったのか。コンバートの真相を聞かれると「いや、ポジションが空いていたから」と苦笑い。当時の町田ではボランチで実績ある選手が多く「要は5番手だった。だったら練習試合で長い時間プレーできた方がいい」と、キャンプから比較的手薄だったSBで起用した。

 想像以上だったのはその適応力だ。最初は「超高校級じゃない。何年か後に力になれば」と考えていたが「どのポジションをやらせても普通にできちゃうから。練習試合でセンターバックもやっていた。全然良かったよ」と振り返る。高卒1年目ながらリーグ戦21試合に出場。SBで「高い次元にあった」と頭角を現した。

 順調に見える一方で、苦悩も見てきた。ボールを奪いに向かって入れ替わられた場合、ボランチだと後ろに人が残っているが、最終ラインでは命取りとなる。夏ごろから失点に絡むことが増え「少し元気がなくなっていた」。その後、練習試合でボランチをやらせたこともあり、その姿から「やっぱり真ん中の選手だな」と感じていたという。

 ただ、サイドバックの経験がボランチに生きることもあったはず。相馬氏は「それは分かんない」と前置きした上で「サイドバックが(ボランチに)どう顔を出してほしいとか、守備の時にどう切ってほしいとか。そういう視野は広がったと思う。結果的に1年目から試合に出て、最終ラインのプレッシャーみたいなのも経験したことは良かったんじゃないかな」とうなずく。

 日本代表として初出場だった1998年のW杯フランス大会。ピッチに立っていた相馬氏は「最初は何も分かっていないから」と謙遜するが、当時から積み上げてきた蓄積が今の代表の力となっている。そのバトンを受け取る佐野へエールを送った。

 「今の代表はいい守備からいい攻撃というサッカー。そこはやっぱり海舟が目立つ。接点でボールを奪い切れるかどうかは、点を取るところと一緒で、すごく大事な局面。海舟が一番勝利に貢献できるのは、ボールを奪うこと。それをチームのために出し続けてくれたら、大きな力になる」

 ◆相馬直樹(そうま・なおき) 1971年7月19日、静岡市出身。清水東高から早大を経て94年にJリーグ鹿島に入団。不動の左サイドバックとしてチームの黄金時代に貢献し、98年W杯フランス大会に出場するなど日本代表でも活躍した。国際Aマッチ59試合4得点。2005年に現役引退。日本協会アンバサダー、サッカー解説者を経て、10年に当時JFLの町田の監督に就任。その後、Jリーグで川崎、町田、鹿島、大宮、鹿児島を率いた。25年シーズンをもって鹿児島のGM兼監督を退任した。

 ◆佐野海舟(さの・かいしゅう)2000年12月30日、岡山県津山市出身。米子北高で3年連続で全国高校選手権に出場した。19年に町田に加入し、同年5月5日の水戸戦でJリーグデビュー。20年9月6日の琉球戦でプロ初ゴールを決めた。23年に鹿島に移籍し、24年7月にドイツ1部リーグのマインツに移籍した。日本代表としては23年11月のW杯アジア2次予選・ミャンマー戦で初出場。国際Aマッチ通算13試合出場0得点。176センチ、67キロ。弟の航大はオランダ1部リーグのNECナイメヘン所属。

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