手倉森ジャパン「復興のシンボル」へ

 リオデジャネイロ五輪に出場するサッカー男子のU-23代表は、11日に鳥栖のベストアメニティスタジアムでガーナ代表との強化試合を行う。この一戦は、4月に発生した熊本地震を受け、慈善試合として行われることになっており、収益は被災地の義援金となる予定だ。

 チームを率いる手倉森監督は、11年に東日本大震災が発生した際にはJ1の仙台を率いてた。クラブも甚大な被害が出たが、「俺たちが復興のシンボルになるんだ」と選手たちを鼓舞。当時のクラブ最高順位である4位に押し上げている。自身も被災者として、苦労を経験しただけに、指揮官のガーナ戦への思いは強い。

 2日夜には東京から九州に入り、支援物資などを持って3日の早朝から熊本県内で、さまざまな支援活動を行った。「チャリティーマッチをやるにあたって、現地の様子を知らずに戦うわけにはいかなかった。東日本大震災を思い出しながら、避難所の慰問やサッカー教室などをやった。(発生から)時間がたっておらず、まだまだ苦労している方も多い。少しでも明るいニュースを届けられれば良い」と意気込んでいる。

 災害に見舞われた際、スポーツが置かれる立場は決して簡単なものではない。指揮官も「被災地の現状を見れば、スポーツをやっている場合ではないという人もいる」と理解はしている。ただ、仙台を11年、12年(2位)と躍進させた経験から、確たる信念もある。「つらさや不安といったネガティブなところだけを見ているとなかなか人間のメンタル的には苦しい。ちょっとだけでも良いから、戦う姿や躍動する姿勢で人生の活力を感じてほしい。スポーツにはその力がある。魂のこもった試合をする。被災地の人たちを勇気づけたい」。その力を信じてやまないという。

 以前、手倉森監督は、こんな話もしていた。「被災者の気持ちに寄り添うだけではなく、時には(もう一度)立ち上がるために、みんなを奮い立たせる役割も必要だ」。微力かもしれないが、サッカーが産む熱狂や感動が、何か立ち上がるきっかけになるかもしれない。だからこそ選手たちには「まずは魂を見せろ。我々には任務があるんだと」と求める。「日本の力を世界で示して、日本人の誇りを見せてほしいと。本当のパワーをピッチ上で示さないといけない。日本が元気だと世界にアピールするためにも、まずはエネルギーを熊本に届けて、パワーを世界にとどろかせる。そういう試合にしたい」。手倉森監督が率いる、若きサムライたちがピッチ上で躍動する姿を期待したい。(デイリースポーツ・松落大樹)

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