ヴェルディVSマリノス 25日に16年ぶり黄金カード 横浜M・水沼「自分たちの存在や価値を示す」

 今季の開幕へ向けて練習で汗を流す横浜M・水沼
 Jリーグの開幕セレモニー=93年5月15日
 攻め込む横浜M・中村(10)=02年7月21日、国立競技場
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 23日に開幕するJリーグで、日本サッカー界の“伝統の一戦”とも言うべき黄金カードが復活する。今季のJリーグ開幕戦で組まれた東京V-横浜M(25日、国立競技場)。日本リーグ時代から名勝負を繰り広げ、1993年5月15日のJリーグ開幕戦でも人々の記憶に刻まれる熱戦を見せた両チーム。2008年以来16年ぶりの対戦を前に、父の代から受け継がれるクラブの魂を背負う横浜MのFW水沼宏太(33)に開幕戦へ臨む思いを聞いた。

 1993年5月15日-。「光とか音とかすごかったなというイメージはありますね」。スタンドで歴史的一戦を目撃した当時3歳の水沼に、わずかに残る熱戦の記憶。その重みを知るのは、かなりの時間を経てからとなる。

 31年前の開幕戦に出場していた父・貴史氏。近年ではその父との対談企画などもあり、当時の思いに触れる機会を得た。

 「父がやっとプロになって開幕戦に出られた。その感動は計り知れない。歴史の一歩目を作り出した一人が父というのは、すごく誇らしい。今、子供たちが自分のユニホームを着て応援に来てくれるのは当たり前じゃない。そういう気持ちは絶対に忘れちゃいけない」

 実は水沼も在籍当時のユースでは、チームが“打倒ヴェルディ”に燃えていた。それは「ヴェルディが強かったから」という思いから。ただ「意識的に負けたくないみたいなのはあったかも。歴史みたいなものも、子どもながらに分かっていたのかな」と振り返った。

 両クラブ最後の対戦は2008年。水沼はユースから昇格してヴェルディ戦ではベンチ入りを果たした。記憶の節目に、やはり因縁の糸は絡んでくる。

 「父の歴史を知るからこそ、ヴェルディの昇格はうれしかった。開幕戦で当たることになった時には面白いなと。昔はサッカーを見ていて今は離れている人も、思い出される方がいると思う」と開幕戦の意義を語った。

 だが、いい試合をするという意識ではない。「僕らはずっとJ1に居続けているチーム。その力を見せないといけない。しっかりたたきのめすじゃないが、自分たちの存在や価値を示すのはすごく大事」。歴史をつくるのは誇りをぶつけ合う熱量の積み重ね。24年2月25日、真の黄金カード復活へ新たな一歩が刻まれる。

 ◆水沼宏太(みずぬま・こうた)1990年2月22日、横浜市出身。横浜Mのユースチームを経て、08年にトップチーム昇格。10年7月の栃木への期限付き移籍を皮切りに、鳥栖、FC東京、C大阪でプレーし、20年に横浜Mへ10年ぶりに復帰。22年はリーグ戦31試合出場7得点で2年ぶりの優勝に貢献し、同年7月の東アジアE-1選手権でA代表デビュー。23年にJ1通算350試合出場も達成した。父は日産自動車、横浜Mで活躍した元日本代表の水沼貴史氏。176センチ、72キロ。

 ◆横浜F・マリノス 前身は1972年創部の日産自動車サッカー部。「横浜マリノス」として創設時からJリーグに参加し、吸収合併した横浜フリューゲルスから「F」を取り、99年に現チーム名となった。95年にJ1初制覇、2003年、04年は2連覇し、19年にも優勝。22年も頂点に立って、リーグ制覇は5回。マリノスはスペイン語で「船乗り」。本拠地は日産スタジアムとニッパツ三ツ沢球技場。かつて木村和司、水沼貴史、井原正巳、松永成立、中村俊輔、城彰二、松田直樹、川口能活らが在籍した。

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