Jリーグ全日程がこのほど終了し、J1広島は12勝13分け13敗の勝ち点49で、11位に終わった。4季目の城福浩監督(60)は得点力アップを目指し、3バックから4バックに変更して開幕を迎えた。しかし、新システムは機能せず、5月下旬に3バックに戻した。その後も上位争いに加わることができず、残り5試合を残して城福監督が退任という苦難のシーズンとなった。
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2021年の課題は明快だった。得点力を上げる。それによって、タイトルを目指す。
守備は鍛え上げた。3年間の平均失点は0・99とトップレベル。あとはゴールだ。タイトル奪取には平均2点台の得点力が必要なのが近年の傾向だが、広島の過去3年間の平均得点は1・35。この数字の改善なくして、タイトルは狙えない。
城福浩監督はその方法として、形を変えることを決断した。3-4-2-1から4-4-2へ。前線の人数を増やすことで昨年後半から機能し始めた前線からのプレスを効率化。相手を押し込むことでよりゴールに近づく戦い方を選択した。
だが、思惑は外れた。誤算はFW陣だ。
このサッカーは前線から守備のスイッチを入れることからスタートする。しかし、その役割を担うはずのドウグラス・ヴィエイラや永井龍が次々と故障離脱。2人とも長期間、チームから離れた。
新加入FWのジュニオールサントスは、前線から守備をする習慣がない。最前線よりもウイングが本来のポジションで、得点パターンも単騎突破型。周りとの連係を取るには時間が必要だった。ところが彼はコロナ禍の影響でキャンプ合流が遅れ、春先はACL日程変更などの影響で、想定外の17連戦。戦術練習の時間もなく、なかなかフィットできない。
2年目の鮎川峻も頑張ったが、経験不足は否めず。得点源であり、守備のスイッチ役であるFWを欠いたチームは4月10日の湘南戦以降の8戦で1勝2分5敗と急降下。5月23日のC大阪戦から3バックに戻したことで守備は修正、一度も降格圏に落ちずに残留を果たしたが、平均得点は1・16。夢は夢のまま、届かなかった。
スキッベ新監督の課題も当然、得点力の改善になる。ただ、新型コロナウイルス対策により、新外国人選手を獲得しても入国がいつになるか不透明だ。現有戦力をいかに組み合わせ、効果的な攻撃を創造するか。2022年、広島の浮沈はその1点にかかっている。
(紫熊倶楽部・中野和也)