酒井高が帰国 主将でハンブルガーSVの降格危機脱す、涙の訳は…

 サッカーのドイツ1部・ハンブルガーSVに所属する日本代表DF酒井高徳が23日、シーズンを終えて成田空港着の航空機で帰国した。降格の危機にひんしながらも、最終節で残留を勝ち取ったハンブルガーSV。過去、2部降格の経験がないという伝統のあるクラブで、シーズン途中から主将を任された酒井高。最終戦後には涙も流した激動のシーズン中、双肩にのしかかっていた重圧について語った。

 晴れやかな表情だった。最終節のウォルフスブルク戦では劇的な逆転勝利を挙げ、1部残留を死守したが「今は、本当に残留したのかなって。明日にも練習が始まるんじゃないかと思って実感がないですね」と胸の内を語った。

 試合後には、多くのサポーターがピッチになだれ込む中、人目をはばからず涙を流す酒井高の姿があった。自らも「(試合後に)涙を流すタイプじゃないですね」と語るが、涙の理由については「ホッとしたのが一番だったんですけど、自分は本当に多くの人に支えられているなと感じていたので。チームメートや友達、家族、両親。そういった人たちに支えられて成し遂げられたと思った。だから色んな人たちへの、感謝の思いが出てきて…。みんな、ありがとうって言いたくて泣いたのかなと思う」と振り返った。

 昨年11月、チームのキャプテンに任命された。日本人がブンデスリーガ1部で主将を務めるのは初めてで「周りからも『すごいね』って言われました。でも、自分の中では何も成し遂げていないと思っていた」。1887年のクラブ創設以来、2部降格の経験がないというクラブの伝統。「実はそれが一番のプレッシャーだったかも」と話す一方で「日本人としても(クラブの)名前を汚せないなって思っていたんです。2部に初めて落とした時、主将が日本人だったっていうのは、絶対にプライドが許せなかった」。重圧もまた、反骨心と闘争心に変えた。

 今季は、本職であるサイドバックだけではなく、チーム事情からボランチも務めた。「本当はサイドバックをずっとやりたい気持ちもあった。ただ、チームの事情もある。自分の役割を果たすため、チームにすべてをささげるというつもりでやった」。

 タフな経験は、プレーヤーとしてさらなる高みに登るきっかけにもなる。波の大きいシーズンを戦い抜き「今季で、(選手として)劇的にうまくなったわけではない」と前置きする一方で「自分やチームに対して自信を持ってプレーすることで、パフォーマンスは変わってくるということを感じた。こういう経験で、一歩でも二歩でも、選手として成長することができれば」と話した。

 今月下旬からはW杯アジア最終予選・イラク戦(6月13日・テヘラン)に向けた海外組合宿も始まる予定。「今はサッカーのことを考えたくないと思って帰ってきた」と苦笑いする一方で「しっかりと休養を取るのも仕事。まずはしっかり休みたい」と語る酒井高は頼もしかった。

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