巻「熊本に残る」復興へ涙の誓い 

 熊本地震で被災したJ2熊本が21日、熊本市内で選手やスタッフによるミーティングを開き、5月15日のアウェー千葉戦からリーグ戦に復帰する方針を決めた。Jリーグ側から一時的に熊本県外に練習拠点を置く案も提案されたが、元日本代表のFW巻誠一郎(35)ら選手たちは地元に残る考えで一致。熊本県宇城市出身の巻は涙を流しながら、熊本県民とともに復興への道を歩む思いを語った。

 あふれ出る涙を、巻は止められなかった。その目に浮かぶのは被災した地域の仲間、そして様変わりした故郷の光景だった。「本当に熊本が大好きなので、力強く前に進まないといけない」。復帰を目指す「5・15」へ向けた決意を口にした。

 16日未明の本震後、選手・スタッフによる全体ミーティングを開いたのは初めて。県外に避難している3選手を除く、26選手が集まった。大打撃を受けた益城町在住のGK畑は自宅が損壊するなど9選手は今も車の中で寝泊まりしている。Jリーグの原博実副理事長からは県外に拠点を移すプランなどが提案されたが、それでも熊本に残ることを決めたのは、地元と県民に対する愛情からだった。

 チームメートと協力し、19日には益城町の避難場所近くで子どもたちとサッカーボールを追いかけた。プロ選手として勇気づけるはずが、逆に子どもたちの笑顔に元気をもらったという。「お互いに励まし合い、今まで以上の熊本をみんなの力でつくりたい」。そう気持ちを固めた。

 クラブは17日と23日に続き、5月7日に組まれた第12節の札幌戦まで新たに3試合の開催中止を発表した。リーグ復帰の目標は15日の千葉戦。25日から自主練習を始め、5月2日から全体練習を再開するため、クラブは急ピッチで練習場所の確保に動く。

 現在4勝1分け2敗の暫定7位。復帰戦で対戦する千葉は、巻にとって03~10年夏に在籍した古巣だ。「僕も熊本も元気だと千葉、全国のみなさんに発信するためにもチーム一丸となって前に進む」。熊本イレブンは厳しい道のりでも故郷とともに戦い抜く。

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