小林監督、徳島悪戦苦闘の2カ月を語る

 四国勢で初めてJ1に昇格した徳島ヴォルティス。「勝ち点40以上」を目標にスタートを切ったが、3月1日の開幕戦から9連敗を喫し、4月29日の第10節・甲府戦でようやくJ1初勝利を挙げた。出口が見えない連敗の苦悩と、歴史的1勝の歓喜…。小林伸二監督(53)が、悪戦苦闘の2カ月間を振り返った。

 ◇   ◇

 ‐開幕から9連敗と、苦しい戦いが続いた。

 「初めてのJ1でもう少しやれると期待していたが、開幕戦から度肝を抜かれた。力の差はまだまだ埋め切れていない。慣れてはきているが、まだ決定的なミスも出る」

 ‐守備重視のサッカーを目指してきたと思うが、大量失点の試合が多い。

 「昨年の後半から、ワンチャンスをものにして1‐0で勝つようなサッカーをやってきた。ただ、J1はグレードが違う。前半10分とか20分とか、早い時間帯で先制点を取られてしまい、なかなか90分間守り切るサッカーができない。前から行くのか、きっちり引いて守るのか、私の指示も徹底できていない部分があった」

 ‐J2とJ1との違いは。

 「脚力、球際の強さ、スピード、決定力…。すべて違う。スピードで言えば、単純に相手の方が走るのが速かったり、判断や予測するスピードが速かったり。その速さに選手たちは非常にプレッシャーを感じていて、なかなかボールを回せずパスミスが出る。だれかがミスをしたときに、ほかの選手が補えるようにならなければ」

 ‐そんな中、第10節・甲府戦で待望の初勝利を挙げた。

 「先制点を取って、残り15分間をきっちり守れた。チャンスは少なかったが、選手たちが粘り強く戦ってくれた。この1勝で、たくさんの人が喜んでくれているのをすごく感じた」

 ‐9連敗のあとだけに喜びも大きかった。

 「やはり非常にうれしかったですね。何十件も電話やメールをいただきました。『おめでとう』とか『J1初勝利!』とか。昇格が決まったときのような、大変なことをした感じ。我々は負けていることがキツくても、一生懸命に前を向かなければならない。 そういう中で、駅や空港でたくさんの人から『頑張れよ』って声をかけてもらっていた。心配かけてしまったなあ、でもこんなに喜んでもらえて幸せだなあと。やっぱり強いチームをつくらないといけないなあと感じました」

 ‐9連敗中は、指揮官として考え込むこともあったか。

 「考え込むというか、仕事にたくさん時間を使いましたね。家にいるときも、ずっと試合のビデオを見ていた。ビデオ見て、パソコンで編集して、またビデオ見て…。どうやったら勝てるかなあと、何回も何回も。でも、それではダメなのかもしれない。メリハリというか、切り替えないと」

 ‐1勝して、選手たちも気持ちが楽になったのでは。

 「やっぱり1回勝つと違う。9連敗を忘れるわけにはいかないが、1つずつ返していこうと前向きな気持ちになっているはず」

 ‐第14節・鹿島戦(17日)のあとW杯中断を挟んで、長いシーズンは続く。

 「甲府戦の勝利は、たまたまではない。少しずつだが、チームは変化を見せている。経験は浅いが、伸びていく可能性はある。とにかく上のチームにこれ以上引き離されないように、しっかり準備をして勝ち点を取っていきたい」

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